町、農場、砂漠、ジャングル・・・・・・あますところなく地球は一面、緑のカーペットにおおわれた。宇宙からの目に見えぬ播種者がまいた無数の微細な胞子は、いま高さ六百フィートの大木に成長しつつあったのだ。おいやり、人類から土地を剥奪し、ついには人の生命を脅かし、加速的に繁殖する!世界は崩壊して、文明は滅び去った・・・・・・。広大無辺な宇宙に人類の卑小さを冷徹な目で見つめるディッシュが、従来の妥協的なパターンをまったく捨て去り、一片の救いも光明も残さぬかつてない破滅テーマSFへ、迫真の筆をふるった野心長篇!
ジェノサーイド!すごい題名に、ひどい内容。ひたすら暗ーく、人類が滅び去るのを、一つの共同体を軸に描いていきます。しかし、これが、なぜだか面白いのだ!
不倫だ、乱交だ、狂気だ、殺戮だ・・・・・・エトセトラ。破滅テーマを非妥協的に描き出し、人間がその理性を失っていく様に戦慄を覚えつつ読み進む。どの登場人物も、それがどんな平均的な人物であれ、一癖あるように書いてある。いい奴なんて、どこにも登場しない。それぞれが、それぞれのエゴで動いていることを克明に書き記している。ものすごく冷徹な目を持った作品だ。
救いのない最後だが、どうせなら、暗示などでなく、最後の一人まで克明に殺しきってほしかった。それが、不満といえば不満だが、こんなことを書いたら、頭がおかしいと思われるのでやめとこう。
巨大な植物が繁茂し、人類は脇に追いやられていき、行き場を失ってしまう。文明が崩壊し、地球上すべてが植物に支配されてしまう。こういうシチュエーションも大好きなんですよねー。
最後まで、刈り入れにやってきた者の正体がわからないのも、いいなあ。しょせん人間程度には、わからなかった、みたいな。
ひどいけど、すごい物語。
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