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毎度馬鹿馬鹿しいお笑いを一席 小松左京『四次元オ  コ』

SFには「バカSF」というジャンルが存在します。大原まり子・岬兄悟編『SFバカ本』などを読めばだいたいどういうものかわかると思います。「原始SFはバカ話であった」。
 SF作家の御三家といえば、星新一、筒井康隆、そして、小松左京。今日は小松左京氏の短篇の中から一つ紹介したいと思います。その題は『四次元オ  コ』。
 小松左京といえば、まず、思い浮かぶのが本年映画の公開も予定されている『日本沈没』や『エスパイ』『首都消失』などの長篇です。しかし、短篇だって負けてはいない。『首都消失』の前身である、『物体O』なんかはバカ話の最たるもの(だと私は思う)。かつて、筒井康隆はSFのことを「バカ話を真面目な顔で語るのが面白さ」であるといっていました。「物体O」はそうですが、今日、紹介する『四次元オ  コ』は最初から笑わせるのが目的です。全篇落語の語り口です。だから、当然面白い。

 連れ込み宿(ラブホテル)に向かう一組の男女。最近(昭和四十九年当時の話です)はラブホテルもいろいろと趣向を凝らしているようで「新幹線ルーム」とか「空中遊泳ベッド」とかいろんな部屋を用意しています。主人公カップルが今夜使う部屋の仕掛けは「電撃GOGO!沈没ベッド」。行為をいたしていると、部屋にお湯が満ちてくる。部屋全体が湯船のようになり、壁面に稲光やら、怪獣映画やらが大写しになり、体の下ではベッドが幾つかに割れ、体に当たる部分に微細な電流が走り、「しびれるうIKUIKUてなもんです」(「」内原文ママ)。そんな折、部屋がゆさゆさと揺れ始める。演出か?と思いきや、本物の地震。「お客さんだいじょうぶでっか?」と従業員が安全確認に来ましたが、カップルの男の方がパニくってます。「アレが食いちぎられた」と。確かに男の大事な部分がなくなっています。しかし、血も出てないし、痛がるそぶりもない。女性の様子を見た従業員は医者と、なぜか天文学者と、それにSF作家を呼んできます。彼女の大事なところを覗いてみると・・・・・・。その向こうには宇宙が広がっていました
 いろいろ話し合って三人はこれを「オ  コ」と名付けます。「ほんまやったら、この二字アキの中に伏字の××がはいるんやが、それが別の宇宙へ行ってしもうたから、こっちにのこっとるのはオとコだけや」。地震のショックのせいで、彼女の大事な部分が四次元的に裏返り、男女の大切な部分は別次元の宇宙に飛んでいってしまったのだ。さあ、どうする?こんな話です。
 SFのバカ話は結句下ネタに突き当たります。そういえば『SFバカ本』も下ネタ全開で突っ走ってました。ところで、気になるのですが、作中「悶絶逆V字締め」とか、「残酷アニマル天狗」とか変な名前の必殺技みたいなのが登場するのですが、いったいどういったものなのでしょうか?知ってる人はぜひ教えてください。僕、こどもだからわかんないや(ぶりっこ)。
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