映像がなかなか面白かった。『ミニパト』で験した人形劇の手法(スーパーライブメーションというらしい)を割り箸をなくして作ったみたいな(?)。押井監督自身は俳優のいい表情だけで構成できて、その中間の弛緩した表情がなくていいといってることをどこかのインタビューで読みました。正直言ってケツネコロッケのお銀(兵頭まこ)が絶世の美女だというのにはピンときませんでした。僕の美観には合わなかったみたい・・・。
出演している俳優は押井氏の周辺の人々で押井ファンには楽しすぎるのですが、はたして一般の人にはどうなのか?と思いました。が、一般人っぽい後ろのカップルの女性の方がクスクス笑っていたので大丈夫か(でも、もしかしたら押井マニアであるという可能性は捨てきれないが)。
庵野氏のウルトラマンが見れたり、西尾氏が貧乏なアニメーター役でそばをすすっていたり、神山健治氏が「予知野屋」店長をやっていたり、ジブリのプロデューサー
鈴木敏夫氏が撲殺されたり、見所ばかりでした。
僕は原作を読んでいたのですが、あまり面白いとは感じなかったんですよね。面白いと感じたのは最後のファーストフードの襲撃ぐらいで。映画を観てから、やっぱり押井監督は映画作家だと思いました。虚構をもっともらしく語るそのリアリティが映画と書籍ではまったく違うように感じました。
あと押井監督は村上春樹が好きなのでしょうか、嫌いなのでしょうか。途中で出てくる「~襲撃」は明らかに村上春樹の「パン屋再襲撃」という短篇ですし、「ピー」ランド(フランクフルトの辰)の話にしても、三部作(後に『ダンス・ダンス・ダンス』で四部作になりますが)の登場人物「ネズミ」と「僕」の関係性について語られたものだとしか思えません。
この作品は押井作品のセルフパロディとしても面白いですね。榊原良子(南雲しのぶ)や山寺宏一(トグサ)の声が聞こえるだけでファンとしては笑えてしまうし(しかもそれが効果的に使われている)、まあ、もちろん犬やら鳥やら戦車やら戦闘機やらお馴染みの「役者」たちも登場するわけです。『紅い眼鏡』の映像やら見てもわかんない人にはしょうがないんじゃないですかね?まあ、押井ファンにはスタッフロールを最後まで楽しめる作品であることは間違いないです。押井ファンにとっては頭から尾っぽまであんこの詰まったおいしい鯛焼き、それ以外の人にとっては
なんだかよくわからないがちょっとだけ面白い映画であった、
あるいはものすごく眠い映画であったという作品ではないかと思われます(総括)。
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