現代のロンドン。地下鉄延長工事の現場から、太古の巨大竜、サラマンダーが眠りから目を覚ました。彼らは驚異的な速さで増殖し、20年後には人類を絶滅へと追い詰めていた。サラマンダーの目撃者であったクイン(クリスチャン・ベール)は、仲間とともに要塞に隠れるように暮らしていた。そこにアメリカからサラマンダーを倒したことのある男ヴァンザン(マシュー・マコノヒー)と彼が率いる義勇軍がやってくる。空を自在に飛び回り、強烈な炎を吐き、人間を喰らうサラマンダーを相手に、と、生き残ったわずかな人間たちの生死をかけた戦いが始まった。
期待していた通りのちょっとおかしな映画でした。でも、そこが楽しい。
ある日、地下鉄のボーリングをしていたお母さんのもとへ成績の報告に来た(?)少年は穴の奥に竜を見つけてしまいます。お母さんは龍の餌食になり死亡。時はいきなり飛びすさり一気に20年後に。龍は好き放題しまくって世界は壊滅状態になってしまいます。
「恐竜を滅ぼしたのもこいつらだと科学的に証明された」とかなんとか言っていましたが、龍が世界を滅ぼしている間にそんなことやってる暇はあったのか?とか、
核兵器を使っても倒せなかった相手をたかだか爆弾つきのボウガンの矢一本で倒せるのか?とか、さまざまな不合理点が見つかりますが、まあ、そんなものは置いておきましょう。
龍の造形はよかったですが、その龍がオスが一匹だけで、他のメス三百匹を相手に精をばらまいている、というハーレム状態の設定が結局は一番いただけなかったと思います。そりゃ、そうすれば製作者も楽だろうけれど、視聴者は納得できません。
崩壊後の世界も「マッド・マックス」シリーズを思わせるところもありつつ、微妙に納得できません。製作者があまり世界観を作りこんでないんだなーという安易な感じが物語全体にあって、つまらないんですね。つまりはオタク度が足りないのだ、と。オタクをよく「濃度」で表したりしますが、この物語は全体的に「薄かった」のです。そして、「薄い」ことは物語でよく使われる価値尺度「深度」でいえば「浅い」のです。
ただ、途中で「スター・ウォーズ」や「ジョーズ」のパロディを神話的にやっていたのは、少し微笑ましかったかな?ようするに監督のビジョンの問題なのかなあ、と。そういう意味で言えば、ルーカスもスピルバーグも、「映画を平明にした」ことで批判も賞賛も浴びているわけだから、このシーンはこの映画を象徴しているような気もしないでもありません。
それと、西洋中心主義のところが微妙に気になりますね。出てくる国はアメリカ・イギリス・フランスだけ。これを見るだけで、監督の世界観の狭さがわかるかもしれない。わずか300匹の龍で世界中をセーブできるとは思えないんですが。
と、さんざん批判していますが、それなりに楽しい映画でありました。制作費との釣り合いを考えなければ、の話ですが。
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