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SF読もうぜ(166) 筒井康隆『銀齢の果て』

img102.jpg 和菓子司の隠居、宇谷九一郎の住む宮脇町でも「老人相互処刑制度(シルバー・バトル)」が始まった。町内にはもと自衛官、神父、もとプロレスラー、そして幼なじみなど、「強敵」五十数人が犇いている!21世紀最大の、禁断の問いをめぐる筒井文学の新たな代表作!

 スラップ・スティック!ブラック・ユーモア!これぞ、筒井康隆!

 少子高齢化で、問題がさまざまでてきた日本。そこで、老人を減らそうと、同じ町内の老人を殺し合わせて、残った一人だけが生き延びられるという老人相互処刑制度が発布された。『バトル・ロワイヤル』を老人に移植したすごい作品。『敵』とのつながりも感じられます。

 一人一人丁寧に書き込まれた人物描写に感嘆し、グロテスクな殺害描写にのけぞる。若い僕が読むのと、老人が読むのと、また感慨が違うでしょうねえ。徹底的な老人虐待文学となっております。終わり方も、なにかを暗示してそう、だけど、常に思想的なことを否定してきた筒井康隆なので、これは個人の読み取り方次第かなあ。若者の描写などは、ちょっと違和感がありますけどね。ステロタイプにすると、現在の若者はこうなってしまうのでしょうか。

 石川喬司氏の筒井康隆論で、ヒト=モノ論というのがあるのですが、これは当てはめることのできる作品ですね。『トラブル』というものすごい短篇を思い出しました。むちゃくちゃ面白かった。
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