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海外古典を読む① ドストエフスキー『罪と罰』

img213.jpg 鋭敏な頭脳をもつ貧しい大学生ラスコーリニコフは、一つの微細な罪悪は百の善行に報われるという理論のもとに、強欲非道な高利貸の老婆を殺害し、その財産を有効に転用しようと企てるが、偶然その場に来合せたその妹まで殺してしまう。この予期しなかった第二の殺人が、ラスコーリニコフの心に重くのしかかり、彼は罪の意識におびえるみじめな自分を発見しなければならなかった。

 どうも、ごぶさたしてます。

 長かった・・・・・・。上下巻合わせて900頁以上あります。ちょびちょびと一章ずつ読み進めてようやく読み終わりました。

 嫌な婆さんを一人殺しても、その金を社会に役立つようにすれば、その罪は報われるのだ。頭がちょっと病的になってしまったラスコーリニコフは幾つもの偶然が重なった上で、老婆殺しを決行し、さらには予定しなかった老婆の妹のリザヴェータまで殺してしまいます。この「第二の殺人」が、ラスコーリニコフの心に重くのしかかり、ラスコーリニコフはさらにおかしくなってしまいます。

 その心の動き、特に怯えの様子が微細に描かれていて、確かにここまでページが膨らんでしまうのもわかるような気がします。登場人物は基本的には自分のエゴだけで動き回り、一人ひとりがその背景までわかるように描写されていきます。「ポリフォニー」(多声音楽)と呼ばれるように、一人の登場人物だけでなく、様々な登場人物が平行して描かれていて、すごいです。

 僕は基本的には文庫のあらすじにあるように、「人間回復」ということに主眼を置いて読んでいました。ラスコーリニコフは感情と頭の部分が切り離されちゃった人だと思いました。いわば、頭の中に思想界を創り上げたけれども、心の部分ではそれに追いついていないわけですね。お母さんの手紙を読みつつ涙を流したと思えば、口をついて出るのは母親は単なるエゴのために娘を売ろうとしている、ということだったりします。それが、ソーニャのために頭と心が同調していくはずだ。そう思って読んでいたのですが・・・・・・。

 ラスコーリニコフ君は最後に感情をそのまま受取るようになりますが、思想を捨てた様子は見られないのです。うーん、これはどういう風に解釈すべきでしょう。もともと解釈を捨てたところにある小説なのかもしれないですね。こういう人間がいるのだよ、と。ラスコーリニコフはこういう人間だから、こういう風にしかならないのだ、というふうに作者は描いたのだと僕は受取っておきましょう。これが僕の「罪と罰」の読み方でした。

 うーん、でも本当にエンタテイメント性と実験性のバランスが取れてらっしゃいますわー。これが、ロシア・「リアリズム」なんだから驚きですね。登場人物は喋りまくるし、独り言は多いし、あまり整理されていない作品なのですが、けっこうぐいぐい引き込まれていきました。僕はスヴィドロガイロフという登場人物の行動が一番面白かったです。

 とにかく、やっぱり、名作といわれるだけはある!

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