『花田少年史』が
映画化します。マンガの実写化ということでいつものごとく不安なのですが・・・・・・。まあ、単行本も復刊することだし、名作が再び見直されることはいいことなのではないでしょうか。ちなみに
アニメにもなっています。
近所でも札付きの悪ガキ花田一路には交通事故に出会ってから獲得したありがたくないものが二つある。一つは手術で剃った頭から毛が生えてこないこと。そして、もう一つ。おばけが見えること・・・。成仏できない幽霊たちは一路の力を借りて、この世に遣り残したことを達成しようとするが・・・。
「
妻に見られたくないラブレターを気づかれないよう捨ててほしい」とか、「
一度美人の胸に顔をうずめてみたい」とかいうような馬鹿馬鹿しい未練から、「家の事情で別れなくてはならなくなった彼女と娘に死に際に会いに行く」などの深刻な事情まで主人公の一路が(
いやいや)その依頼を解決していくというのがこの物語の形式です。このいやいやというのがポイントで、実に子どもらしく、「そんな暇があったら遊びたいし、めんどくさい」という理由から一路は幽霊たちの依頼を拒否するんですね。それを脅しすかし、なだめながら(
主に脅しの部分で)幽霊たちがいかに一路を行動に取り立てるかまでの過程がすごく面白いです。
僕は元々涙腺が緩い人間なので、よく泣きますが、この漫画は人を泣かせるつぼをすごくわきまえていると思いました。特に僕は犬を飼っているので、動物関係にはすごく弱いです。それはもう、
顔を濡らされたアンパンマンのごとく。ですから、そのウィークポイントを執拗なまでに突いて来るこの作品には泣かされっぱなしでした。名犬ジロよ、ありがとう。
途中まで読んでいてなぜこの題名なのか不思議だったのですが、最終話を読んで納得できました。子どもというのはやはり不思議な力を持っているし、成長することで失われるファンタジー(幻想)というものは存在するのだと今さらながらに感じました。
舞台背景も昭和の時代を感じさせ、ノスタルジック溢れるものになっています。昭和を五年ほどしか生きていない僕でさえ懐かしみを感じてしまうのが不思議ですが、そこに作者の巧さがあるのではないかと思います。この作品は
笑って泣ける一級のエンターテイメントです。
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