西部劇、時代劇、ハードボイルドもの、ATG風の青春不発ものなど、様々なジャンルに挑戦した短篇群。
特に『危ない!生徒会長』は
少女漫画の絵柄そのもので大友克洋のタッチはほとんどありません。初めて読んだときは目を疑いました。しかも、内容は普通の女の子が生徒会長選にむりやり推薦され、
スケバングループ500人を配下に控える生徒会長になってしまう、といういかにも少女マンガにありそうでないようなお話。
こういった実験を含めて「いろいろやりたいんだ」と大友氏はあとがきで語っています。で、そのいろいろやってみたかったお話の手ごたえは・・・・・・?自作解説をちょっと見てみましょう。
別に大した話じゃないなこりゃ。(『SPEED』)
まあ
失敗作ですね。(『訪問者』)
こういうのを
どーしよーもない作品ていうんでしょうね。(『マドロスくん』)
ま、いま読んでみると・・・・・・・・・・・・
ひどい話だなあ、こりゃ。うん・・・・・・・・・・・・こりゃいい。不思議な作品だな。(『上を向いて歩こう』)
と、いうことになるようです。まあ、この短篇を楽しめるかどうかの基準は上の最後の『上を向いて歩こう』の作者コメントにすべてが表されているような気がします。
好事家の方はぜひお読みになってください。ただ『AKIRA』を期待して読むと、ひどい目に遭うような気がします。
ちなみに僕のお気に入りは『猫はよく朝方に帰ってくる』。オムニバス映画の中の一作品の原作となった作品ですが、不思議な味わいのある傑作です。
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