『巨乳ハンター』は平成元年から、平成二年にかけて、少年サンデーやサンデー増刊号に不定期連載されたギャグマンガです。少年誌にふさわしくない題名ですが、実写でビデオ化されたときにはレンタルビデオ店で
当然のごとく18禁コーナーに置いてあったそうです。しかし、このマンガにいやらしさはまったくありません。むしろ、爽快感さえ感じてしまうくらいの突きぬけっぷり。単行本は
右乳篇と
左乳篇の全二巻です。
貧乳であることを理由に交際を断られた恭塚まさ子は巨乳に憎悪を抱き、夜な夜な
巨乳の女性を襲ってはパイ拓をとる巨乳ハンターになります。奇妙なサングラスに被り物、手縫いの衣装の大きく膨らんだ胸の部分には「D-CUP」の文字。ちなみに実際は貧乳なので胸の部分は
肉まんや、スイカなどで水増ししています。登場時には
「ひゅーほほほほ」という笑い声と共に、
「巨乳ーうハンタァァー!」と叫びます。そして、毎回、巨乳の強敵と死闘を繰り広げます。その題材はいずれも有名作品をパロってますが、2006年現在、そのほとんどは風化してしまっています。
巨乳皇帝(バストエンペラー)→映画「ラストエンペラー」
巨ブラ→寺沢武一「コブラ」
ボインはV→「サインはV」
バスト☆キッド→映画「ベストキッド」
大霊パイ→映画「大霊界」
D-CUP HIGHSCHOOL→きうちかずひろ「BE-BOP HIGHSCHOOL」
ロボカップ2→映画「ロボコップ2」
ぐらま天狗→鞍馬天狗
西部パイ拓史→映画「西部開拓史」
妖パイハンター→諸星大二郎「妖怪ハンター」
よくこんなに思いつくもんだと今書いてて思いました。個人的に好きなのは「大霊パイ」。本棚の下敷きになって死んでしまったまさ子さんは貧乳ゆえに地獄行きという不条理な目にあってしまいます。地獄でも貧乳は被差別者。怒ったまさ子さんは巨乳ハンターに変身。地獄をペレストロイカしようとする・・・。こういった話です。あと、「西部パイ拓史」に出てくるバストラーデ(西武ライオンズ黄金時代の助っ人デストラーデ)の話も大好きです。
さて、ネタはほとんど風化しかけているこのマンガですが、現代に残した素晴らしい遺産があります。それは擬音です。巨乳の敵キャラが登場するときの擬音は
「どぷり~ん」。『GS美神極楽大作戦!』で有名な椎名高志先生はこの擬音が大好きらしくいたるところで使っています。そして、現在少年サンデー連載中の『絶対可憐チルドレン』でも、明石薫の姉と母、二人の巨乳キャラが登場したとき、
「どぷりんっ」「どぷりりんっ」とその胸の大きさを強調するようにあの擬音が使われたのでした。私は思わず
感涙にむせびました(←嘘)。
「ひゅーほほほほ」と「どぷり~ん」。この二つの擬音を生み出したこの作品はマンガ史上における重要な作品であると思います(おおげさ)。
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