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諸星大二郎を読む 諸星大二郎『美少女を食べる 諸星大二郎劇場第3集』

奇奇怪怪な世界へと誘う、至高の短編集。

秘かに開催されている、『悪趣味クラブ』。
悪趣味の限りを語り合う禁断の会合で、
今宵俎上に上がったのは“とある美少女”。
世にもおぞましい悪食晩餐会が、今はじまる―――――

鬼才・諸星大二郎が描く、全てコミックス初収録の奇怪譚のオムニバス。
パンドラの箱を開けた時、あなたはきっと、まだ見ぬ不思議に遭遇する。



 うーん、まずはすごい題名だな、と。

 いつにも増して、悪趣味というか、なんか振り切っている感じがありました。




 「鳥の宿」は、最後に「舌切り雀」か!と、ハッとするお話です。
 最後はいじわる兄さんが爆死するという昔話の典型のような展開に。

 「月童」「星童」は連作短編。
 こういう中国の̪志怪風な話は好きですが、いつも以上に気味が悪い話になっています。
 人形愛の話の要素もあり、興味深く読みましたが、最後まで好きになれませんでした

 「美少女を食べる」は、題名通り、「美少女を食べる」ことがテーマのお話です。
 なにがほんとでなにがウソなのか、最後までわからず、最後は読者に委ねられます。こういった開かれた結末はけっこう好きで、僕なら(1)の結末を選ぶかな(最もつまらないと思われるかもしれないけど)。

 「アームレス」。この作品は好きですね。結末は呆気ないですが。
 荒廃した未来。腕のないロボット。少し古いロボット造形。すべてが僕の好みにマッチしていて、異形の女性が母性を持っているというところが「鳥の宿」に通じていて面白かったですね。

 「タイムマシンとぼく」。この作品が一番面白かったですね。
 小さな女の子を連れて映画館に入った「ぼく」が、トイレから戻ってくると小さかった女の子は同年代の女の子に成長している。そして、映画館の外は未来になっているのです。
 ビンのコーラの自動販売機についている栓抜きに「すごい!未来の機械だ!」と驚いている「ぼく」の姿に笑いました。『タイムマシン』のエロイとモーロックの話もあり、最近、読み返したので、登場してきてうれしかったです。エロイとモーロックは不倫してるのかな?

 「俺が増える」も題名通り、自分がどんどん増えていく話。作者が自作解題で「主人公が増えていく話は、タイムマシンものなんかでありそうです。」と書いていますが、筒井康隆の「チューリップ・チューリップ」や「ドラえもん」のドラえもんがどんどん増えていく話を思い出しました。

 久々に諸星大二郎を読むことができて満足です。第4集はいつ出るのかなあ。
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