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SF素人が空想科学小説に耽溺するブログ。

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SとMの狭間で モリタイシ『RANGEMAN』

img126.jpg 恋愛衝動過剰な高校生・大塚錬児はある日、恋のパワーによって変身し、悪のモンスター・メガネスターと戦うレンジマンに入隊することになる。
 メガネスターの目的は、レンジ星の王女の娘で、国民的アイドルの風香。レンジマンは風香をメガネスターから守るために設立された部隊なのだ。
 だが、錬児と風香はその事実も、お互いの正体さえも全く知らぬまま、徐々にその距離を近づけてゆくのだった…
 2人の関係の行方は!? そして、錬児が運命の恋人と結ばれる日はやって来るのか!!? すべての若き少年少女に贈る、銀河ときめきBOY伝説!!

(※ 半分冗談で書いています。これから読む方はそれを踏まえて読んでください。)

 先日、約一年ぶりくらいに『週刊少年サンデー』を読みました。そして、しばらく読まないうちに『RANGEMAN』が大変なことになっていたので、びっくりしました。レンジが風香の靴の踵で頬をグリグリされていました。「こっ、ここまで来たか」と嬉しくて、思わず既刊の単行本を全部買ってしまいました。
 この物語を、僕はSMの物語として読んでいます。理由はそう読んだほうが面白いからという勝手なものですが、2巻の表紙を見て下さい。人間椅子です。ウィキペディアによれば、人間椅子はSMのポゼッション・プレイの一つ。ポゼッション・プレイとは、人間を道具に見立てて扱うプレイだそうです。あながち、僕の見立ても間違っていないと思います。

 S(サディスト)は国民的アイドル風香。彼女はレンジの頭頂部分を拳で繰り返し殴打したり、気絶状態のレンジの口に液体を流し込んだり、頬をつねったり、青あざを押すことを妄想したりして、悦に浸ります
 対して、M(マゾヒスト)は主人公レンジ。しかし、彼は虐げられることによって、快感を感じることはありません。ですが、少年漫画というものは、多くの場合、主人公に感情移入するものであり、レンジの被虐行為に快感を感じているとすれば、それは読者といえるでしょう。そう、つまりマゾヒストは私です。

 少年漫画における被虐行為というのは、ここ最近、エスカレートしているのではないでしょうか。昔は少年漫画の主人公は清く正しく積極的であったような気がします。そうでない悪童ものでも、主人公は外交的で悪戯好きで、どちらかというと加虐傾向があったというのが僕のイメージです。しかし、時代も下り、内向的な主人公が増えてきます。そうなると、主人公はどうしても受身的になってしまう。少年漫画ではありませんが、『エヴァンゲリオン』の主人公シンジはその傾向の代表ともいえるでしょう。そして、そういう傾向が出るには、作り手、受けての側の世代の典型的な人間像がそこになければなりません。
 主人公が受動的であり、そこに「恋」という要素が絡んでくれば、自然、女性キャラクターは能動的にならざるを得ない。そうなると世話焼きの幼なじみ、あるいはツンデレなどの積極的、攻撃的な性格を帯びた女性キャラクターが登場する下地ができるのではないでしょうか。と、ここまで書いたけれども、そういえばレンジは積極的すぎるキャラクターなので、この話は当てはまらないことに気づきました。しかし、こと風香との関係性となると、レンジは受身に回るので、この型の主人公に当てはめたいと思います。

 『RANGEMAN』では、主人公レンジが他の女性に恋をして、風香に恋をしないということで、今度は逆に風香に対する嗜虐性が読者の中には現われます。彼女が報われなければ報われないほど、読者としては嬉しく、それでも健気な姿にキュンとくるわけです。これは、『いでじゅう』での中山朔美の人気と同じ現象ではないでしょうか。読者はマゾヒストであると同時に、サディストともなるわけです。
 一方で、風香の行為に被虐性を味わいながら、逆にレンジが他の懸想者の話をすることで風香に苦痛を与えることによって、レンジ自身にはない嗜虐性を読者は感じるわけです。同じことが『スクールランブル』の播磨と沢近の関係にも言えるような気がします。
 では、読者がなぜ風香の行為に被虐性の喜びを味わうかというと、これもSMのプレイと一緒で、「攻撃=愛情の深さ」という愛情の形容化という点が大きいのではないでしょうか。少年漫画における女性の暴力は嫉妬の裏返しであることが多い。つまり、暴力=愛なのです。特に高橋留美子マンガに顕著なように、ラムちゃんの電撃も、茜の乱馬への攻撃も愛情の裏返しであって、その行為はひねくれた愛情表現であり、SMのプレイと一緒行為が過激であればあるほど、愛情の深さは増していく
 我々の日常生活でも、親しい人間には軽い悪口を言い合ったりして、関係を深めていることがあります。『ハヤテのごとく!』におけるハヤテへのマリアのいじめ方、ヒナギクの威嚇など、対象に苦痛を与えることによって、より人間関係は深くなる、またそれを確認することができる。それは、日常生活を過剰なまでにデフォルメする空間であるマンガにおいてはよりエスカレートし、直接的な暴力という形で現われます。いじめられればいじめられるほど、相手の愛を受け取ることができるんですね!もっと、いじめて!

 と、いうような形で「SMの見地から語る『RANGEMAN』論」を進めてきました。今後、さらに風香の愛が深まれば、今度はどのようなプレイが飛び出すのか今からワクワクしています。はたして、「人間椅子」に続くのはどんな行為だ?「緊縛」や「」や「蝋燭」は登場するでしょうか(なんか『変態仮面』みたい)?興味は尽きません。
 3巻で藤木俊先生に「デブ専界で人気が上がっているらしい」と指摘されているモリタイシ先生ですが、SF・・・・・・じゃなくて、SM界でも確実に株が上がっているんじゃないかなあ。以上。

 追記:そして、今週のサンデーでは女装プレイ(?)へ。(5/29)
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