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村上春樹「ノルウェイの森(上)」(講談社文庫)

暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。僕は1969年、もうすぐ20歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。(講談社文庫:紹介文より)

 冒頭部、飛行機の中のシーン。
 ビートルズの「ノルウェーの森」の印象的なイントロ、気だるげな歌が僕の頭の中をぐるぐるとまわり続ける。読み終えるまで始終頭の中で流れ続けていました。

 第2~3章は短編「螢」の内容とあまり変わらない。
 ノルウェーの森という曲で、「小鳥は飛んで行ってしまった」とあるのと同じように、螢も飛んで行ってしまう。

 もう1人のヒロイン緑との出会い。永沢さんとハツミさん。
 下巻の紹介文には「等身大」とあるのだけれど、僕の印象では特殊なパーソナリティを備えている方々だなあという印象。特に緑という人物には惹かれるものがある。永沢さんには緑という人物と逆の意味で惹かれるものがある。

 さて、直子の入所した療養所の世界はそこで完結されていて美しい。
 後半のエピソードには「めくらやなぎと眠る女」のエピソードも入っているし、「我らの時代のフォークロア」同様のテーマ性もあって、短編との関連性を考えていると面白い。

 主人公の名前「ワタナベトオル」という名前は、短編集「パン屋再襲撃」に頻出した「渡辺昇」の変種なのかなと思う。いずれにしても、この名前の類似性には興味がわく。

 わかりあえない哀切に満ちた一冊でした。
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