お気に入りの作品を。
『東京諜報地図』
周囲の人間すべてがスパイという面白い作品。後半にかけてのスプラッターな展開が面白いと思います。
『アルファルファ作戦』
老人だけの残った地球に宇宙人が攻めてくるという一風変わった作品。さまざまなギャグが散りばめられていて楽しいです。途中のジェネレーションのお話が興味深いものがあります。
『窓の外の戦争』
実験的な作品。窓=テレビではないか、と感じますね。
『飛び猫』『池猫』
短いんですが、好きです。『群猫』と同じく、環境に適応していった猫のお話なのですが、イメージするとキモかわいい感じ?
『ヒストレスヴィラからの脱出』
こういういつまでたっても逃げ出せないというイメージが、筒井作品には多いような気がします。文化が違えば人々の感覚も違う。そのズレが非常に面白かったです。
『台所にいたスパイ』
『東京諜報地図』と同じくスパイもの。最後の家族なんて~という台詞が非常に痛いです。ですが、こういう非常に冷たい目で見てるその視線という者が、表層的な家族意識をひっぺがしてくようで、清々しささえ感じます。
『遊歩道』
非常に短い作品ですが、「歩道の白い部分を歩かないと落ちちゃうんだ」というこの意識。すごーくわかるんです。大原まり子さんの作品でも、帰り道に電信柱を一つ残らずさわらないといけないという強迫観念にとりつかれている女の子が登場しますが、僕もこういうことやってましたからねー。病気だったんですねー。
『腸はどこへいった』
下ネタ。ラストシーンがある意味壮大ですばらしい。
『人口九千九百億』
地球上の人口が増えすぎて、地表どころか海上までも建築物で覆われた世界。こういうまがまがしい世界は大好きです。途中ででてくるSF作家の部屋にあるSF小説の題名がパロディになっていてニヤリと笑いました。
『アフリカの爆弾』
核ミサイルの拡散はアフリカの部族国家までに浸透。国連払い下げの核ミサイルを肩に担いで、えんやーこらさーとジャングルの中を横断する。一番好きな短篇。途切れることのないギャグの連打にこちらはKO負けです。面白すぎる。特にライオンが登場するところが好きです。ハタリ!
総評:ベストは『アフリカの爆弾』。めちゃめちゃ面白いです。直木賞候補にもなりました。
中間小説誌に進出したので、全体的なSF味は薄くなっています。それが、当時のSFファンにはきっともの足りなかったのでしょうね。
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