ギリシアの哲人プラトン、釈迦国の王子悉達多、ナザレの救世主イエス。彼らは世界の破滅を感知し、この世界を外から支配する超越者の存在を知る。幾千億の宇宙と人類の存亡をかけ、紀元前の過去から未来までの時空間の中で、彼らは巨大な力に戦いを挑んでいくが・・・・・・宇宙の創生と終焉、神と人間、時の流れの非常さをテーマに、壮大なスケールで描く日本SF小説の金字塔。
素晴らしい。
壮大なスケールに読んだ後、しばし呆然としてました。
プラトン、シッダルタ、イエス。世界の思想家オールスターの共演!と書くと、なにやら安っぽく感じてしまいますが、実際はなんだか深遠な物語です。強大な科学力を誇ったアトランティスが滅びたのはなぜか?なぜ宗教では「破滅」のビジョンが必ず示されるのか?人類の存亡をあやつる超越者とはいったい何者か?謎が謎を呼ぶ展開に思わず引き込まれていきました。
『SFマガジン』で光瀬さんの未来史シリーズの短篇を読む度に、この人は長大な歴史をどう締めくくるのだろう?と思っていたのですが、この本を読んで納得できてしまいました。解説の栗本薫さんも書いていますが、物語に漂う無常観、悠久の歴史の中の一個人という視点が光瀬さんの小説の面白いところだと思います。
そもそも僕にとってこの作品は、萩尾望都のコミックスの題名として目に入ったものでした。『百億の昼と千億の夜』・・・・・・なんて素晴らしい響きなんでしょうか!原作を読んでからカバー作品に入っていく僕としては、そういう意味でこの作品にあたろうと思ったのですが、はっきりいって予想外の衝撃でした。この作品を萩尾さんがどう料理しているのか、ますます期待が高まります。
「日本SFの金字塔」「オールタイムベスト」等の評価にふさわしい偉大な作品だと思います。
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