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SF素人が空想科学小説に耽溺するブログ。

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SF読もうぜ(22)コードウェイナー・スミス『第81Q戦争』

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人類補完機構シリーズとその他の短篇。


『第81Q戦争』

 放射熱源の独占権をめぐって、アメリカとチベットは、国際戦争委員会に戦争許可を申請した。

 戦争がほぼスポーツとなってしまっていて、清々しささえ感じる作品です。

『マーク・エルフ』

 一九四五年四月、動乱のドイツから打ち上げられたロケットは数百年も軌道を回り続け、そして、テレパスの手によって地上に降り立った。数千年の時を経て・・・・・・。

 奥さんがスミスの残したメモをもとに書いたということですが、原文が読めるわけではないので文体がどうなのか、とかいう評価を下すことはできませんが、けっこう、読んだ印象では面白い。

『昼下がりの女王』

 一九四五年四月、動乱のドイツから打ち上げられたロケットは数百年も軌道を回り続け、そして、テレパスの手によって地上に降り立った。数千年の時を経て・・・・・・。

 人類補完機構がなんなのか、はっきりとした形がわかって、パズルのピースがぱちりとはまって、面白かった。ただ、物語が単純化しすぎているかな?と不満は残るが・・・・・・。

『人びとが降った日』

 ドビンズ・ベネットが若かりし日、金星の上空から、何千何万という人間が降ってきたのだ・・・・・・。

 人間が降って来る!まさに奇譚。

『青を心に一、二と数えよ』

 数十年、或いは数百年とかかる航宙の間に目ざめた人間たちはどうなるのか?以前起きた悲劇を教訓に、心理保護士たちは少女の心にある仕掛けをほどこした。

 うーん、面白いけど、こういう風に人間の獣性を剥き出しにした作品は苦手なので・・・・・・。うーん、でも面白い。

『大佐は無の極から帰った』

 新航法から帰還した大佐は奇妙な格好のまま、硬直し、その意識は戻らない。彼を救う手立てはあるのか?

 それなりに面白い。この辺り、少し眠かったから頭に入ってこなかったのかも。

◎ 『ガスタブルの惑星より』

 人類はガスタブル星を発見し、二つの種族は交流を持つこととなった。ガスタブルの住民アピシア人はアヒルによく似た生物。彼らは外交よりも、食欲の方に関心を持っており、地球の食べ物(時に食べ物でないもの)を貪欲に食いまくっていた。ところが、ある日のパーティーで悲劇が・・・・・・!

 超うける~(笑)。このシリーズでこんなアホな話が読めるなんて思わなかったから、儲けもの。いやー、面白い。

『酔いどれ船』

 一人の男が、突如としてどこからか現れ、病院に収容された。奇妙な姿勢でかたまっていた男を追って、ロード・クルデルタは軍隊を引き連れて、地球へやってくるが・・・・・・。

 うーん、これも奇妙な話。けっこう評価の高い作品みたいですが、僕にはそこまで合わなかったみたい。いや、眠い目こすりながら読んだからかも。でも、宇宙3っていう言葉や概念がはっきりしなくて、具体的な物語の進み具合が見えなかったんですよね。

『夢幻世界へ』

 ロゴフとその妻チェルバスは、スターリン直々の指令により、国家予算を与えられ、二人の監視員と共に、ひそかに研究を続けていた。その研究が完成したとき、ロゴフの身に起こったできごととは?

 この人はソ連が好きなのか、嫌いなのか。もちろん、後者であろうが・・・・・・。なぜ、英米の作家はこうまでソ連や中国を特殊に描こうとするのかなあ?まあ、わからんでもない部分もあるけど、ちょっといきすぎだぞ。

『西欧科学はすばらしい』

 「ある羅漢の第一三八万七二二九代東部下位化身」と名乗る火星人が、ソビエトの少尉と中国人民軍の将校の前に現れ、「素晴らしい西欧科学について学びたい」と切り出した・・・・・・。

 とぼけた味わいが、面白い作品。この作品では、スミスの新しい側面を幾つもみせられることになったが、特に補完機構以外の作品が面白い。

『ナンシー』

 遠い宇宙への旅を志願した青年軍人は、上司から「ナンシー」という女性の名を聞かされる。それは挫折の象徴であるらしいのだが・・・・・・。

 これは補完機構の一つだよね?そりゃ、自分のアニマに会うことがあれば虜になるのは当然だわな。『スズダル~』でも扱われていましたね。

『達磨大師の横笛』

 原始インドの時代、一人の金細工師が魔法の笛を作り上げた。達磨大師が所有したこともあるその笛は、人の手から、人の手へ。そして・・・・・・。

 これも独特の雰囲気の話だなあ。ディックとかも禅を扱っていたりするけど、欧米の人にはどう伝わっているのだろう。達磨なんて、知らないだろ、あっちの人は。いや、でも、そんなの関係なしに面白い。

『アンガーヘルム』

 アンガーヘルムというアメリカ人の名と、その住所がソ連の観測衛星に観測されていた。ところが、それは実際に耳に聞こえる音ではなく、人の意識に直接聞えるらしいのだ。アンガーヘルムとはいったい何者で、この声はなんのために入れられたのだ?

 壮大なバカ話。こういう話は大好き。米ソの対立を小馬鹿にしたような語り口もアイロニーがきいてていいです。

『親友たち』

 宇宙から帰還した男は医師に必死に尋ねていた。「俺の友人達はいったいどうなったんです?」。

 いくら面白くても、同じ着想を繰り返し読むとちょっと飽きちゃいます。

 総評:今回は補完機構ももちろん面白かったけど、それ以外の短篇が意外に面白くて、嬉しい誤算でした。特に『西欧科学はすばらしい』『達磨大師の横笛』『アンガーヘルム』は変な話で好き。
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