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『わが村』
バーンスタブル村でのできごと。
うーん???あらすじも説明できないほど、理解が及ばなかった。独特の言い回しは面白いのだけれど。
○
『ハリスン・バージロン』
2081年、人々はとうとう平等になった。神と法のまえだけの平等ではない。ありとあらゆる意味で平等になったのだ・・・・・・。
面白いです。人より見ばえのするものはいない。「人より力の強い者も、すばしこい者もいない」。そのため、人々はハンディキャップを人工的に取り付けられなければならない。笑いました。ラストもいいなあ。
◎
『こんどはだれに?』
普段はさえない金物屋のハリーは台本を読み、演技をしだすと別人に変わってしまう。その彼に恋をした女性がいた・・・・・・。
変格的なラブストーリー。たしかに楽しそうな生活だ。
○
『モンキー・ハウスへようこそ』
日に三回の道義避妊ピルの服用、そして街角には自殺ホーム-人口過剰の未来社会でとられた政策は、セックスの禁止と自殺の奨励だった。だが、性の解放を謳う反逆者が、一人また一人と現れる。
面白い。ことの始めが猿山のサルの自慰をやめさせるためだったってのが、バカでいいなあ。まあ、反逆の方法は、褒められたもんではないですが。
◎
『永遠への長い道』
結婚を控えた女性の前に、友人の男性が現れる。彼は彼女を散歩に誘い出した。
あま~い。甘いですよ。胸やけにご注意。
○
『フォスター家の財産目録』
投資カウンセリング会社の渉外担当である「わたし」はハーバートという男から、資産運用の相談を受ける。その家はどうみても、裕福そうにはみえないのだが。
うーん。幸せ=金ではない、と。必要ない莫大な財産。『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』に似たようなところあるかも。
○
『誘惑嬢』
夏の間の村のアイドル、スザンナ。ところが、十八ヶ月ぶりに戦争から帰還してきたフラーは彼女に余計なことを言ってしまう。
ヴォネガットは性的なタブーについての問題意識が大きいのでしょうか。『モンキーハウス』といい、この作品といい、そう感じました。でも、これも甘いお話だなあ。
○
『王様の馬がみんな・・・・・・』
ある東洋の共産主義国家に不時着してしまったケリー大佐の一行。彼は捕虜の命を賭けたチェスを行うはめになる・・・・・・。
面白いですが、不快になる作品です。人間をチェスの駒にして、とられたら殺されるというとんでもないゲーム。
◎
『ほら話、トム・エジソン』
しつこくつきまとい喋りかけてくるバラードと靴のプラスティックに異常な興味を持つ犬に耐えかねて、老人はある話をしだした。
面白いなあ。人をくったほら話って、好きなんですよねえ。特にオチがバカバカしければ、バカバカしいほどいいんです。そんなお話。
◎
『新しい辞書』
えーと、辞書の話。
説明しにくいんですが、面白い。こういう形式的に変化をつけたお話は好きだなあ。ものすごい新鮮な作品です。実験作といってもいいと思う。ただ、小説かどうか問われるとどうなのか?という感じですが。
○
『となりの部屋』
壁が薄いために、会話が筒抜けの隣り合った二件の家。少年は隣の部屋の喧嘩の様子を聞いて・・・・・・。
いい話かと思いきや・・・・・・。ラジオのアナウンサーはこれまた村上春樹の『風の歌を聴け』を思い出す。くすくす笑いながら読めます。
○
『夢の家』
新たな地へ越してきた夫婦。隣人の夫人は、彼らにインテリアについて甲斐甲斐しく、うるさいほどアドバイスしてくれるのだが・・・・・・。
なんだか、三島由紀夫の『花盛りの森』を思い出します。憧れは手に入ってしまえば憧れではない。なんだか、ちょっと惨めな気持になってきました。
総評:カート・ヴォネガットといえばキルゴア・トラウト。トラウトの短篇に似たものもいくつかあって楽しい。まえがきも楽しいですよ。特に小説の中で一番下等なものはなにかと大学教授に問うところとかね(フフフ)。『永遠への長い道』のもともとの題が『つきあいきれない人』だというのにも笑いましたが。
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