戦いのさなか、同盟軍の支配圏内でインベーダーの大規模な破壊活動が行われる時、きまって発信源不明の謎の通信<バベル-17>が傍受された。その解読にあたるのは全銀河にあまねく知られる美貌の詩人リドラ・ウォン。天才的な言語感覚で<バベル-17>が単なる暗号ではなく、ひとつの宇宙言語であることをつきとめた彼女は、自ら宇宙船ランボー号を駆って、次の敵の攻撃目標へと向った・・・・・・。だが恐るべし!そのときすでに、インベーダーの黒い魔手が船内に忍び寄っていたのだ!1966年度ネビュラ最優秀長篇賞受賞の栄誉に輝く、ニュー・スペース・オペラの決定版!
面白い・・・・・・。前半、世界観の説明がまったくないまま、進んでいくので、「なんだ?なんだ?」と混乱しつつ読んでいましたが、途中から、それが楽しくなっていきました。恋愛形態が三人であるとか、霊体の乗組員とか、身体の整形美容とか、それが人々の「通常」の生活の中に組み込まれているので、読んでいて、未来にトリップしたような感覚に陥ります。
リドラ・ウォンという言語に天賦の才能を持つ詩人が、戦闘や、その他の困難に言語を介して立ち向かっていく。言語に関する解説なども、非常に面白いです。「始めに言葉ありき」。認識は名づけられることによってなされる。「わたし」という概念をもたないブッチャーとリドラの会話がものすごく楽しいです。なんといっても印象に残るのは「わたしはアムだし、あなたはアーだから」という台詞。
この人はゲイなのだそうで、確かにゲイの芸術家に感じる作品の繊細な美を感じます。また黒人であることも、主人公が中国系であることなどに関係しているのでしょう。そういった経歴も踏まえて作品を捉えなおすと、また違った感慨がわいてきます。この人の作品は、あと『コロナ』という短篇しか読んでいませんが、あの短篇も、美しかったなあ。
PR
COMMENT
芸術的なのはゲイだよね
やめて
お尻が
痛い!
無題
『ノヴァ』は積読なので、なんともいえませんが、その厚さに読むのを躊躇しています。
ところで、話は変りますが、先日ウォシャウスキー兄弟が脚本を書いた『Vフォーヴェンデッタ』という映画を観ました。これもある意味同性愛を描いた映画として興味深かったです。