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SF読もうぜ(369) ロバート・J・ソウヤー「ゴールデンフリース」(ハヤカワ文庫SF)

宇宙旅行都市計画の一環として、47光年かなたのエータ・ケフェイ星系第四惑星のコルキスをめざすバサード・ラムジェット宇宙船〈アルゴ〉。コンピュータ“イアソン”が完璧に制御しているこの船で、一人の女性科学者が死亡した。事故死?自殺?それとも…。自殺だというイアソンの主張に疑いを抱いた前夫が単独で調査を始め、困難の末にあばいた驚愕の真相とは?“感情を持つコンピュータ”をリアルに描いた話題作!(ハヤカワ文庫SF:紹介文より)




 犯人は最初に開示される。
 倒叙ミステリ型SF。ホワイダニット。動機はなんだ?

 コンピュータイアソルは人間を見下しているようです。たしかに人間の愚かさを感じさせるようなシーンが多い。イメージは当然『2001年宇宙の旅』のHAL。それにちょっと『デモンシード』の変態ストーカーAIを足した感じ。犯人になかなか疑いの目が向かないのがもどかしい。盲目的に信じきっているから・・・!

 コンピュータがすべてをつかさどる世界。人々の健康状態もわかるし、何を考えているのかもある程度把握できる。ところが、主人公であるアーロンだけは苦手でよくわからない。そこで、アーロンの人格をコンピュータのフォルダに作り出し、それに質問することによってアーロンの考え方を知ろうとする、というところが面白い。すでにここに、のちの作品のモチーフが現れています。

 人の気持ちの移り気などころや不義の問題がこの作品にもあって、どの作品にも共通するこの問題は作者にとって人生の重大な問題なのでしょうね。

 さて、動機に関してはアシモフの作品のように、コンピュータのある特性が関係していて・・・というものでしたが、それに関わるものとして、途中から異星人とのファーストコンタクトものの要素が入っていて面白い。こちらもミステリ風味。最後まで人類には明かされていないし、直接出てはこないのですが、ラストも非常に意味深です。

 真実を知らせることが本当に人を幸せにするのだろうか?とにもかくにも宇宙船に乗り込んだ人間たちには辛い辛い現実が待っているような気がして、読んだ後に「あちゃー」となりました。面白かったです。
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