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ジェイムズ・ブリッシュ『太陽神経叢』
天文学者ブラントの浮流観測衛星に一隻の宇宙船が横付けした。その船に誘い込まれたブラントはその船事態が意識を持っていることを知る。
宇宙船に人間の神経を埋め込んでしまうという話ですが、なんだかつまんなかった。
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ログ・フィリップス『幸運斡旋株式会社』
ビル・ニーリーは知人に紹介されて、幸運斡旋株式会社に融資を申し込む。ところが、それは悪魔との契約で、競馬の勝ち馬を当てる、というものだった。
まあ、面白いとは思いますが、けっこう理屈付けが強引なのは否めない。八重歯で将来殺人を起こすって?いくらなんでも、それはないでしょ?
アイザック・アシモフ『冥王星の彼方』
科学エッセイ。ソビエトの天文学者が、冥王星の彼方に、第十番目の惑星を発見したという報道があった、という出だしで始まるのですが、ご存知の通り
冥王星は惑星ではなくなってしまいましたね。ボーデの法則を例に挙げて、惑星軌道の話をしておられます。
◎
ロバート・シェクリイ『会計士の守護神』
魔法使いの家系にあるディー氏は困惑していた。息子がどうしても会計士になるといってきかないのだ。魔法学校の先生に、きつく言われたディー氏は子供の怖がる悪魔を呼び出して、息子に言うことをきかせようとするのだが・・・・・・。
うーん、面白い。シェクリイの短篇を読むときに感じるのは「様式美」です。起承転結がきっちりしていて、いいです。会計士の守護神が登場したときには思わず吹き出してしまいました。
○
G・アトリフ『海底の湖』
日曜版のルポルタージュの記事を任された主人公は、友人からいいネタがあると言われ、警察署に出向いた。しぶしぶ貸し出された報告書や供述書には確かに奇妙な事件が・・・・・・。
ちょっとしたアイデアなんだけど、供述書形式や、その他の小説テクニックで面白い作品になっている印象。海底に油田の湖があるっていうイメージが好き。
V.A.ブロンシテン、V.D.ノウィコフ『恒星飛行』
科学エッセイ?小説ではないが、恒星飛行を想定して、その間に起こる現象(ウラシマ効果など)を解説している。高速の宇宙船から見える風景は「ロケットの進む方向にスミレ色の星々をぎっしりちりばめた区域をみる。次に、この一点から遠ざかるにつれて、星々はしだいにまばらになる。星々の色は青から赤にまで変り、それからその光輝はぐっと減り、ロケットの背後の空の半分には、星々がほとんど見えなくなる」んだそうです。いい勉強になりました。
S・Fらいぶらりい
SFエッセイ・評論の紹介。キングズリイ・エイミス『地獄の新地図』の紹介。SFには二種類あって、一つはアイデア・ストーリー的なもの。もう一つは「シーリアス」なストーリーで、社会学的、或いは倫理的な問題の論理的展開をテーマとするものだそうだ。
TVスクリーン
SFに関する映画、TVの紹介。
てれぽーと
読者投稿コーナー。北杜夫がSFマガジンを読んでいる写真を見たという投稿が。確かに、彼はSFファンで、SFも書いているし、盟友の遠藤周作にも『大変ダア』という放射能によって性転換した男女の狂騒を描いた変な話があります。後に北杜夫は『SFマガジン』にも小説を発表しています。
日下実男『地球物語(9)』
氷河時代の原因を地球そのものに求める説を紹介。昔は日本の位置も極だったことがあったのだなあ。
さいえんす・とぴっくす
二人乗り宇宙船の設計図が載っていて、なかなか興味深い。
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ウィリアム・F・テンプル『のがれる手段』
自殺しようとしていたレインズはスタフォードという科学者に制止された。レインズは戦争の起こる不安に、耐え切れないという。そこで、スタフォードは時間と時間の隙間にある世界へ逃れる手段があるというのだが・・・・・・。
時間が不連続で、その間にまた別の世界があるという発想が楽しい。ただ、不安を除去したために、レインズに起こる不幸はいただけないかなあ。面白いけど、好みの話ではないですね。
岡俊雄『SF映画展望⑨原子怪獣の世界 「ロスト・ワールド」から新「ロスト・ワールド」まで』
題名の通り。『キング・コング』は見たことがないのでとりあえず見よう。『ゴジラ対キングコング』は見たことありますが。あと、「大アマゾンの半魚人」という映画の半魚人の写真がプレデターにしか見えないんですけど。パクリ?
○
ロバート・A・ハインライン『お席へどうぞ,諸君!』
月植民地建設の取材に出かけた「わたし」は、エアロックの一角に閉じ込められる。エアロックの外殻に小さな穴が空き、このままでは全員助からない・・・・・・。
これを読んで、映画『エイリアン』で、エイリアンが宇宙船の外殻に開いた穴から、内臓その他を飛び散らせて真空に吸い込まれていく様子を思い出してしまいました。痛かっただらうな。
○
ロバート・A・ハインライン『光りあれ』
美人でおまけに四つの学位を持つM・L・マーチンは、ホタルが光を発する工程と同じことを実験室で再現することに成功した。彼女はある工場の研究機関にそのことを持ち込み、実用的なものが開発できないかどうか相談する。その結果、出来上がったのは既存の産業界から付けねらわれるハメになるほど画期的な発明だった。
なんだか、理屈はよくわからんが、すごい装置だってことはわかりました。けっこう面白いけど、それだけの作品のような気も。
◎
ロバート・A・ハインライン『強敵』
月植民の三世であるホーリイ・ジョーンズは月世界のガイドのアルバイトもやっている。彼女は地球の魅惑的な女性を案内するのだが、彼女の将来の仕事のパートナーと目しているジェフが彼女に首っ丈になってしまったようなのだ。ホーリイはなんだか気持が落ち着かなくて・・・・・・。
不覚だ・・・・・・。こんな作品を面白いと思ってしまうなんて。全体の作品の調子はものすごくこっ恥ずかしい。少女漫画やコバルト文庫とかにありそうなティーンズ小説調です。強気な女の子が恋をしているのに気づかないで、別の女の子といちゃいちゃしている男に八つ当たりをするという・・・・・・。恥ずかしい、そして、最初の方を読んだ瞬間にラストまでわかってしまうベッタベタな展開。なのに、なぜ、こんなに面白いのだろう?僕の心は乙女なのか?『光りあれ』のラストもものすごく恥ずかしいですが、この作品のラストは、中途の恥ずかしさのあまり、恥ずかしさが麻痺してしまい、感覚が狂ってきてしまって、爽快感すら漂います。もう、どうにでもしてくれ・・・・・・。
空想科学美術展
いくら色彩を褒められても、この印刷ではわかりません。
SF事典
移動歩廊(異なるスピードのベルトが並んでいて、その上に乗って移動するためのもの。動く歩道)、不死(字義の通り。SFでは電位的なものであったり、薬品の投与による回春だったりする)、コールド・スリープ(人工冬眠、冷凍睡眠)。
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