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SF素人が空想科学小説に耽溺するブログ。

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SF読もうぜ⑳『SFマガジン』1960年11月号 ミュータント特集



1960年11月号


チャド・オリヴァー『吹きわたる風』

 数世代にも渡り宇宙を航行する宇宙船の中で、反逆児サミュエルは年を経ていく。大人になった彼だったが、その行き場のない思いに、禁じられた「墜道」の奥へ、彼は進んでいく。

 ラストは予想できたけど、なかなか面白かった。『地球の長い午後』とかもそうだけど、やっぱり異端児だとか、反逆児の物語は好きだ。

アイザック・アシモフ『時間の最小単位』

 科学エッセイ。光フェルミのお話、というより素粒子のお話。正直、よくわからないです。

岡俊雄『SF映画展望 未来と宇宙へ』

 未来もの映画を扱っている。『メトロポリス』は見たいなあ。

柴野拓美『日本SF史雑論』

 日本SF史を論じている。海野十三は読んでみたい。新田次郎とか、武田泰淳なんかもSFっぽいものを書いているんですね。稲垣足穂は佐藤春夫門下だそうですが、そういえば佐藤春夫には『のんしゃらん記録』というSFっぽいのがあったなあ。筒井一家の同人雑誌『ヌル』もここに取り上げられています。

×ミリアム・アレン・ディフォード『時震』

 時震が起こり、すべては十二時間前に戻ってしまった。上司を殺してしまった主人公だったが、上司は甦って、出勤した彼を呼び出した・・・・・・。

 いや、途中までは面白かったけどね。個人的にこういうお話は大嫌いなんです。ラストがねー、賛否両論あると思いますが僕は不愉快ですね。

エリック・フランク・ラッセル『衝動』

 ブレイン医師の許にやってきたのは奇妙な男だった。その男は実は死体で、微生物のような小さなエイリアンが死体を操っているのだった。さらに、エイリアンたちには読心能力が備わっている。彼らは拳銃を突きつけて、麻酔状態にある患者を乗っ取るために、ブレイン医師を脅すのだが・・・・・・。

 けっこう面白いです。まあ、結末を予想するのは楽でしたが。エイリアンな上に心を読むさとるの化け物。その割に頭が悪いです。

矢野徹『SF赤げっと』

 翻訳家矢野徹氏のエッセイ。単身SF大会に出て、大作家と直接会話を交わすというエピソードにあふれる伝説的人物。『復刻SFマガジン』の序文を読んでびっくりしたけど、これを読んでさらにびっくり。すごい人なんですねえ。

S・Fらいぶらりい

 フランスSF、アルベール・イゴンの『万能機(マシーヌ・ド・ゾーヴォワール)』の紹介。

日下実男『地球物語(10)』

 動物の進化について論じる。

さいえんす・とぴっくす

 草でパンを作れるという記事に驚きました。ホントか?

ジュディス・メリル『ママだけが知っている』

 母親となったマーガレットの手紙を中心に、生れた高知能の赤ん坊を描く作品。

 ヒロシマやナガサキの文字を見る度に癇にさわってしまうのは、やはり、僕が日本人だからでしょうか。面白いけど、なんだかいやな感じがする。

ポール・アンダースン『旅路の果て』

 まだ見ぬ恋人を求めてノーマン・ケインはオックス・フォード大学の傍まで来ていた。テレパシー能力を持つ彼は同胞の女の子の存在を感知していたのだ。

 最後の一行に笑った!

ヘンリイ・カットナー『アブサロム』

 ジョエル・ロックは自身も高知能児だった経験を生かして、さらに上をいく高知能児の息子を教育していた。彼は息子の教育によくないという理由でエントロピーの勉強を禁止するのだが・・・・・・。

 うーん。面白いけどね。なんだか、もやもやするよなあ。

ルイス・パジェット『黒い天使』

 昨日まで愛し愛されていたわが妻が異常な能力を身につけたミュータントになって永遠に去っていこうとは・・・・・・。

 人間より高次元の存在となったミュータントは人間を犬と同様に見なしてしまうかもしれない・・・・・・。まあ、進化という言葉がもたらす誤解というものもあると思うのですが。突然変異は必ずしもいい方向に進むわけではないし、むしろ、生存に適した形でサバイバルしてきたといったほうがいいのかもしれない。それにしても、ミュータントの連中は嫌なやつばかりだ・・・・・・。

ロバート・A・ハインライン『猿は歌わない』

 遺伝子操作の末、ちょっとした知能を授けられた猿たちだったが、彼らは老人になり仕事ができなくなると「処分」されていた。それを知った世界一の富豪の奥さんは彼らを救おうと、法律事務所に相談した。問題は裁判に持ち込まれるのだが・・・・・・。

 嫌な話ばかりで、辟易していたのだが、この話で救われた気がする。SFの裁判ものっていうのは、アイデアがものをいうので、あっといわせる奇術的な味わいがあるので好きだ。ハインラインっていい人だなあ。ベクトルがいつもポジティブだもの。

島崎清彦『21世紀の映画』

 残念ながら、予測の殆どは達成できていませんが、あと90年あるので、匂いの出る映画や、五感の全てを体感できる映画はきっとできてるでしょう。それまでは、生きていたいです。

 東宝との共催で、空想科学小説コンテストの作品募集の要項が書いてありますが、その審査員に、安部公房、円谷英二、田中友幸など、豪華メンバーがそろっていて、感嘆しました。結局、映画は製作されたんですかね?
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