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SF素人が空想科学小説に耽溺するブログ。

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SF読もうぜ(180) 『S‐Fマガジン』1965年1月号

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1965年1月号


野田宏一郎『SF英雄群像⑭英雄たちの時代その2 ガーンズバックとその周辺』

 レイ・カミングズ、D・H・ケラーなど。知った名前はそのくらいしかありません。

『未製品』

 人間はその肉体を脱して、精神体として生活できることが可能になった。しかし、肉体に拘束されている人々はそれを許そうとしなかった。

 面白い。人間の肉体がさまざまな悪害を及ぼすというのには、賛成します。僕も肉体を離脱して、自由に暮らせたらいいのになあ、と思いました。しかも、肉体を貸し借りして美男になったりできるのだ!いいなあ。

小松左京『新趣向』

 今日街角で、もしもあなたが忍者や鉄人二十八号や、鉄腕アトムやゴジラを見たら?

 ドタバタです。会社の帰りにいきなり忍者に襲われるっていうのが、すてき。最後の理屈や終わり方がいかにも小松さんらしいなあと思いました。

ジェローム・ビクスビイ『愉しきかな人生』

 雨が降っても、風が吹いても、村人達は「いいお日和で!」と挨拶するのが慣わしだった。アントニーが生まれた時から・・・・・・。

 こえー。鼠に自分の尻尾から食わせていくという子どもの残酷性が、世界にまで広がっているお話。陰湿な感じ。

星新一『商売の神』

 金貸しをしているアール氏は必ず貸した金を返すことをその像に誓わせるのだった。

 やっぱり、ラストがいいですねー。高みから世界を作り上げている透徹した文体がいい。

H・ビーム・パイパー『創世記』

 巨大移民船が事故で大爆発を起こし、近くの星に漂着したカルヴァー・ダードら一行。彼等は子供を作り、ここで生き抜くことを決意したのだった。

 宇宙版漂流もの。着陸した星の生態系がもうちょっと異様だったら、楽しかったかもしれない。ダイジェストみたいな感じで、これが長篇だったらもう少し細かく描写できたのではないかなあ。しかし、最後の一文がいろいろな意味に解釈できて判然としないのが消化不良。

袋一平『キムさんとSF』

 ロマン・キムさんというソ連SF・推理小説作家についての短いコラム。

高橋泰邦『海底の歌』

 潜水巡視船一○八は、渦まき逆まく大津波の中を、ただやみくもな意志をエネルギーとして突進した!

 なんだか大時代な未来もの。国家への忠誠心が出すぎて、僕の美観には合わないなあ。ジェネレーションギャップがありますね。ただ、今後「愛国心」が政府の思い通りに(?)高まっていけば、今後の人には共感できるかもね。僕はイヤだけど。

大伴昌司『SFを創る人々・最終回 柴野拓美氏』

 『宇宙塵』主催者の柴野拓美さん。日本のファンジンの先駆者です。

SF DETECTOR

 日本の本格SFが安部公房によって総合雑誌に出現したことは象徴的だという奥野健男氏の意見興味深い。

さいえんす・とぴっくす

 新型の三胴式飛行船(米) 三列普通に飛行船が並んでいるようにしか見えないんですが・・・・・・。飛行船って、今はあまり見ないから、ロマンティックで夢をかきたてるなあ。

石川喬司『日本SF史の試み』

 古代からのSF的な読み物の抽出が行われている。この着眼点については、横田順弥氏にすごい著書があるみたいなんで、いつか読みます。

キャサリン・マクリーン『防衛機制』

 些細なことだった。妻の手に抱かれて子どもが泣く。すると、その子の要求を正確に知るのは彼なのだ。まちがいようのないESPで!

 赤ん坊を媒介にして、周囲の人の思念を読み取るというアイデアがいいですね。最後に題名の意味がわかって、ああ、なるほどという感じでした。よかった。

浜口利夫『悪酔い』

 バーに入ってきた男は、やたらと酒を飲んだ。

 ちょっと面白い。額から侵入するっていうのがなんかうけたので。話じたいはたいしたことない。

小松左京氏の出版記念会開く

 〈小松左京をはげます会〉が行われました。発起人は扇谷正造、奥野健男、小田実、開高健、安部公房ら評論、純文学畑の作家、生島治郎、中原弓彦、都筑道夫、円谷英二、夢路いとし・こいし+日本SF作家クラブ。筒井さんがSF作家クラブに加わったことなども付け加えられている。

筒井康隆『しゃっくり』

 異変が起ったのは8時51分だった。ちょうど朝のラッシュ時で、その交叉点にひしめく人の群れや車がみんな・・・・・・。

 大好きな短篇。繰り返しの時間が起る中で、人々が狂い始める、そして、なにより主人公の心理状態の推移が細かく描かれていて、すごいと思う。ゲロの中を転げまわる主人公なんていうグロテスクな描写も筒井さんならでは。

伊藤典夫『マガジン走査線』

 『アメージング』のエドモンド・ハミルトン『星空の王国』の紹介。そのほかでは『S&SF』誌でのブラケット『狂った月の紫の女司祭』ハミルトン『プロ』ブレットナー『小さなアントン』ヤング『深淵のどの洞に』。ヒューゴー賞にはやはり文句があるようです。

スタニスラフ・レム『ソラリスの陽のもとに』

 とばしました。

 総評:ベストは『しゃっくり』。筒井さんの作品はきちんと姿勢を正してから読むので、感情移入度が違います。小松さんの作品もSFファンにはたまらない作品。もちろん、ヴォネガットさんの作品も素晴らしい。そして、表紙も素晴らしい。
 人気カウンター①ソラリスの陽のもとに②希望の星③受胎告知④アララテの山⑤木星第五衛星 『受胎告知』はいい作品だと思うんですが、少しグロさがすぎますかね。その点、『希望の星』は妙な明るさがよかったのでしょうか。ピープルはファンタジイだから、点数低いのかもしれません。

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