野田宏一郎「SF実験室⑬奇説地球空洞論」
数学者のオイラーもこの説を唱えていたのだそうです。頭のいい人ってやっぱり紙一重なのか。でも、この奇説大好きですねえ。
◎「
ジャングル・ドクター」
転位装置への数値の入れ間違いで、心理療法士のサリスは地球へとやってきてしまった。凍え死にしそうだった彼女は野蛮な原住民に助け出されるのだが、その原住民リンゼイは心に傷を負った哀れな男だった。
いい話やー。と、いうわけでロバート・F・ヤング初登場です。ブラッドベリよりもスタージョンよりも甘い、と紹介されていますが、スタージョンって甘い作家だったんだ。題名を読むとなんだかすごいんですが、中身はいい話。
○
アーサー・C・クラーク「地球に栄光を」
プリンス・ヘンリイは意外なほど聡明で気品にあふれる気持ちのいい青年だった。だがその穏やかさがうちに秘めたのは・・・・・・
天皇制をとっているわが日本も考えさせられるお話です。
○
リチャード・ウィルスン「次元旅行者」
次元から次元をわたって、侵略者はやってきた。彼らの滅びゆく世界から、一族を移住させるべき場所を求めて!
なんだかかわいそうなお話。最後には精神病者の中にしか入れない次元旅行者。哀れ。
○
ジェイムズ・E・ガン「家なきロボット」
そのヘマばかりやらかすアンドロイドを、自分がいったい何の目的で買ったのか、さっぱり見当がつかなかった!
フレデリック・ポールの「黄金の時代」と同じアイデアの作品ですね。ただ洗脳されたり、ちょっとディックっぽい感じもしないでもないです。
大伴昌司「トータル・スコープ」
怪奇映画のシーズンということで「兇人ドラキュラ」とか「吸血ゾンビー」とか「蛇女の恐怖」とかB級ホラーが並んでいます。
草下英明「続々・ヘンな話のタネ 月石(ルナー・ストーン)」
クザコフ先生のエッセイ。
伊藤典夫「SFスキャナー」
ノヴェライズのお話。アシモフ「三六〇〇秒ミクロの決死圏」、シェクリイ「十番目の犠牲者」の紹介。
さいえんす・とぴっくす
地底生物見つかる(米)洞穴コオロギの発見だそうですが、洞穴に住んでいる生物には興味あります。進化って不思議ですよねえ。
☆
筒井康隆「火星のツァラトゥストラ」
23世紀の火星に、ツァラトゥストラ・ブームがおこった!火星人たちは争ってツァラトゥストラを読み、聞き、見、そして・・・
素晴らしいパロディ。僕はニーチェを読んだことはありませんが、むしろこの小説は偉大な思想がマスコミによってどう扱われていくかという実験的な側面の面白さでしょう。ただ、単行本の作品と違ってスーダラ節のギャグがなかったので残念。載せてもらえなかったのか、それとも後で書き直したのでしょうか。
○
眉村卓「重力地獄」
すさまじい3Gの重力が、不時着した彼らの宇宙 船の管理ロボットの機能を、少しずつ狂わせていくことに、彼らはうかつにも気がつかなかった!
重力下の環境で変貌してしまった人たちの様子がよかった。
△
久野四郎「グルルンガ・ジダ」
そのUFOを見て家へ帰ると、妻が泣きながら私にすがりつくのだ。きいてみると一年ぶりに家に帰ってきたというのだが・・・・・・。
うーん、微妙。ラストもなんじゃそりゃという感じになりました。
◎
福島正実「ちがう」
恥じらいげに背を向けたその女の横顔は、紛れもなく4年前、奔馬性結核で若い生命を散らしたかつての恋人、紀美子のそれだった・・・
面白いです。死んだ人間がなぜかいる。その種明かしがいい。実は世界の複製があって・・・・・・主人公の2番、3番という分身が登場してきたりしていいです。ただし、作中に登場するSFファンに対しての視線が相変わらず厳しいです。
SF DETECTOR
ウィンダムの「さなぎ」は読んでみたい作品です。シェーアバルトの『小遊星物語」もちょっと読んでみたいですね。
小原秀雄「SF人類動物学⑥遊び」
確かに遊びは高度な文明だと思います。マスターベーションも遊びなんですねえ。
光瀬龍「百億の昼と千億の夜」
ついに最終回!来月からは筒井康隆「馬の首風雲録」の連載です。
総評:ベストは「火星のツァラトゥストラ」。この頃の筒井さんの作品は乗っていて非常に好きです。福島編集長の作品もオススメ。
人気カウンター①百億の昼と千億の夜②影の世界(シマック)③時の声(バラード)④救命艇の反乱(シェクリイ)⑤ウイットの手ぎわ(ディクスン)こうやって客観的な順位を見ていると、自分の好き嫌いがわかっていいですね。好き嫌いなく全部食べれればいいのですが。
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