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SF素人が空想科学小説に耽溺するブログ。

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SF読もうぜ(253) 「S‐Fマガジン」1966年7月号

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野田宏一郎「SF実験室⑫隕石由来縁起」

 隕石に関するSFのお話。『宇宙方舟』のイラストが隕石がおうちになっているイラストで素敵です。

小松左京「サテライト・オペレーション」

 それは奇怪な故障だった――エネルギッシュで、非生産的で、手に負えなくて、そのくせ初めは目につかない、まるで・・・・・・

 最後の気のきいたセリフが好きです。

筒井康隆「トラブル」

 あるウィークデーの昼休み、日比谷公園で、突如、この事件はおこる。だが事件のおこる前段階は、いますでに、あなたのなかでおこっているかもしれないのだ!

 史上最凶のパイ投げ!スプラッターSFであり、ドタバタの極致であり、読んだらぶっとぶしかない。ちぎれた手足を放り投げ、頭をかち割り、目玉は飛び出し、周囲は血の海。筒井康隆にしか描けなかった世界であり、乾いた哄笑とグロテスクなもののおぞましさが体中を駆け巡る。筒井作品の中でもお気に入りの作品。

眉村卓「仕事ください」

 あなたにはわかっているだろうか・・・・・・?この現実とあの幻影とが、それほど遠くへだたっていないかもしれないということを――

 筒井さんの小説の後では、あまりにも味が薄すぎます。眉村ファンと筒井ファンは重なりあわないと本人は書いておられましたが、今回はどうやら重なりませんでした。

豊田有恒「ボーリング・ボーリング」

 ボーリング・アディクト諸氏への警告。あまりああしたものに凝るとこういう目にあわないとも限りませんよ。ほんと。

 ボーリングが流行っていた頃の作品でしょうか。ちょっとアイデアが弱いかなあという感じがします。ボーリングを投げるとタイムスリップするというちょっと変な作品。

マイケル・ムアコック「乱流」

 マックス・ファイルはヨーロッパを救うため十年後の未来へと行くことになった。しかし、実験動物が現在に帰還してきた率は三分の二に過ぎない。ファイルは果して帰ってこれるのか?

 後半の時間は一定ではないというところがムチャクチャ(といっては失礼ですが)で面白かった。トカゲ人間の出会いとか、未来での様子など楽しめました。

小原秀雄「SF人類動物学⑤個人差」

 クレッチマーとかの体型の性格分類など、自分を当てはめて考えるとけっこう当たっています。

SF DETECTOR

 クラークの『都市と星』刊行。まだ読んだことがありませんが、傑作のようです。

伊藤典夫「SFスキャナー」

 人類テーマの作品を三作品紹介。J・F・ボーン『ラニ人』、ヴェルコール『人獣裁判』、H・ビーム・バイパー『小さなムクムク』の三冊。

さいえんす・とぴっくす

 酸素ベッドで安眠を(英)病院用の治療装置だそうですが、去年話題になった斉藤投手が使用していた疲労回復用の酸素ベッドを思い出しました。実用化されているものもけっこうあるんだなあ。

大伴昌司「特撮テレビ映画繁盛記」

 『ウルトラQ』が大人気。視聴率が毎回三十%超です。『ウルトラQ』の次はあの『ウルトラマン』を予定しているとのこと。

大伴昌司「トータル・スコープ」

 聖書を題材にしたイタリア映画『バイブル』について。

ウォルター・M・ミラーJr「風立ちぬ」

 この苦痛と恐怖と重労働の無限のくりかえしが、自分になんの幸福をももたらさぬと知ったとき、彼のはらわたは煮えくりかえった!

 宇宙開発の犠牲者の物語。くらいよ・・・・・・。でも、この発想そんなに嫌いではないです。最後の主人公の姿が健気。

ジェイムズ・E・ガン「種あかし」

 この作品、じつは昨年九月号の「女嫌い」と対をなすもので――といえば、ネタを割ったと思うのは、素人のあさましさです。

 というキャプションでしたが、そんなに変りはないと思いましたが。ただし、やっぱり女ってこわいなあと思わせる作品ですが、実際に女性に読ませたら怒るぞきっと。

アラン・E・ナース「焦熱面横断」

 水星の焦熱面を横断する――バロンの大胆な計画をその男はとめにやってきた。焦熱面から生きて帰ったただ一人の人間として・・・

 読んでいるだけで汗がダラダラでてきそうな作品です。最後にクレイニーのセリフが漢(おとこ)を感じさせます。男ってほんとにバカなんだから・・・・・・とつぶやいてしまうこと間違いなし。

ジョージ・O・スミス「天職」

 ガード・レル・レインは地球に送られた異星人の使節だった。しかし、彼は人類に恒星間飛行の秘密や超技術を教えはしなかった。

 分相応に生きなさい、と。人類のレベルを思い知らされる作品ですが、こういうのは好き。IQ260の異星人ってすごいなあ。『ガッチャマン』のベルク・カッツェはIQ280あるんだそうですが。超感覚を手に入れたときの主人公の様子もいいです。

光瀬龍「百億の昼と千億の夜」

 ついに次回最終回!

 総評:ベストは「トラブル」。すさまじい作品です。ムアコック読むのはたぶん中学生以来ですが、内容をさっぱり覚えておりません。「この人を見よ」はいずれ読み返そうと思います。エルリック・サーガもブック・オフで見かけるけど、いまいち食指が動きません。
 人気カウンター順位①海への贈り物(ヴァンス)②百億の昼と千億の夜③カメロイド(文部省が抜けてます)④戦艦の死⑤泡の女(ガン)カメロイド文部省は当時の筒井さんの作品にしては上位にいますねえ。
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