西須諸次『二十一世紀の夢 二十一世紀式野球観戦法』
著者は気象学者だそうで、風などの気象条件が試合に与える情況を会話体で描かれておられます。この人はパ・リーグファンでしょうな、きっと。
○
レイ・ブラッドベリ『睡魔』
ある惑星に不時着したセイル。奇跡的に助かり、さらに通信機器も無事で、救助隊も一週間後には到着するらしい。あとは眠ってゴロゴロしてればいいさ。ところが、その眠りにつくと奇妙な声が聞えるのだ・・・・・・。
この話は一年ほど前に既読なのですが、妙に印象に残っていました。救助隊の二人はやっぱり使われちゃうんだろうなあ。
◎
ウィリアム・テン『ブルックリン計画』
航時機を過去に飛ばして、四次元を開発するブルックリン計画。しかし、航時機が過去に飛び立ったとき・・・・・・。
さすが、短篇の名手と、初めて呼んだ時に拍手を送った作品。ウィリアム・テン短編集にも収録されていました。
○
アーサー・C・クラーク『エラー』
電流が新型発電機に飛び込んだとき、その不幸な男の身体に変化は起きた・・・・・・。
ここまで三作品は既読なので、なんだかすごく損した気分だ。この作品も好きな部類で、特に食ったものが栄養にならないところが妙に印象に残っている。
『ブラウン管に栄光あれ!―“ミステリー・ゾーン”復活―』
テレビのミステリー・ゾーンを特集。
斉藤守弘『サイエンス・ノンフィクション 宇宙人はもう来ていた!』
題どおりのお話。古今東西の宇宙人はもう来ている説を紹介。
アイザック・アシモフ『商売道具―数でない数の話―』
科学エッセイ。ぼくはもう先生にはついていけません。
○
ロバート・A・ハインライン『深淵』
FBS(連邦保安局)のエージェントであるギリアムは、最終兵器「ノヴァ」の計画図の載ったマイクロフィルムをしかるべくところへ送るべく、地球へ帰還した。ところが、彼の周りにはたくさんの罠が仕掛けられていた・・・・・・。
うーん、攻性の防衛組織というやつですか。そのためには暗殺も辞さない考え方。軍人らしい考え方ですねえ。確かに、目的が正しければ、それはそれでいいのですが、テロリストだってなんだって、目的の正しさを信じてやっているのですからねえ。自分の絶対的な正しさを客観的に評価できる人なんていないと思いますが。
『S・Fらいぶらりい』
第十九回SF大会(シーコン)のレポート。石森章太郎さんが参加していたそうだ。へえー。
日下実男『地球物語(23)』
海の開発について。
さいえんす・とぴっくす
人工頭脳の写真がすごい。ものすごーく広い部屋を占領する機械群。今で言うとどれくらいの能力があるのかなあ?
相島敏夫・安部公房・佐野洋・円谷英二・本田猪四郎・福島正実『座談会 映画SFはSF映画に何を期待できるか』
うーん、豪華メンバー。そういえば今日の訃報欄には佐野洋さんの弟さんと、ウルトラマンの音楽を作った方の名前が載っていました。偶然とはいえ、共時性を感じました。ある意味ではこの座談会が一番面白かった。
△
H・B・ヒッキイ『抱擁』
女性から金を騙し取るのが仕事のロジャー。彼は自らの召使ロボットに密かな思いを抱いているのだが・・・・・・。
うーん、まあ、ありがちかな?意外なオチでもなかったし。
○
ハリイ・ウォルトン『スケジュール』
急がば回れ、ということわざがある。負けるが勝ち、というのもある。彼はそれを、忠実に実行しただけだった・・・・・・。
こういう知恵を使って乗り切る物語は好きだ。人物造形なんかは、どうかと思うけど、アイデア自体は面白かった。
草下英明『スペースファン・サイクロペディア④太陽系アウトロウ』
太陽系の中でのアウトロウを特集。
◎
ラルフ・M・ファーリイ『液体生物』
ある塩水湖からくみ出した水に電極を差し込むと、彼は猫の脳を使って語り始めた。その液体生物は科学顧問団たる主人公達に様々の解決法を与えてくれるほど、知識を取り込み、成長していくのだが・・・・・・。
いい。まず、液体生物っていうか、不定形な生物がすきなんだよねえ。『影が行く』といい、これといいクラシックな作品って面白いなあ。アイデアに対してストレートなところが、素人にはぐっとくるものがあります。
総評:既読ものが多くて、少し残念。といっても、僕が既に読んだものたちが刊行されたのはこの号が発刊された後なのですが。やはり、SFマガジンを読んでいると日本でのSFの受容史みたいなのが感じられていい。福島氏は三号で潰れるかもと思っていたと発言しているが、もうその雑誌が四十年以上も続いているわけだから。ちょっと感動してしまいましたよ。来月号は手塚治虫氏の『宇宙人は花ざかり』掲載ということで期待しています。
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