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SF素人が空想科学小説に耽溺するブログ。

モラトリアム

   

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SF読もうぜ(79) 『S-Fマガジン』1962年1月号

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手塚治虫『スーパーマンは花ざかり―世界のSFマンガ紹介―』

 『幽霊一家』ってのはアダムス・ファミリーですかね?『子どもをまもる会』でつるし上げられたって書いてありますけど、その人の作品が今や「教育的」マンガとして、読まれているわけですから、時代の趨勢っていうのは、どうなるかわかりません。

チャド・オリヴァー『雷鳴と陽のもとに』

 宇宙法では未開の種族と接触を持つことは禁止されている。ところが、アルデバラン第四惑星の人類は、いまや絶滅の危機にある。シェーファー一行は宇宙法を犯し、彼らを救いに行くこととなる。

 いい。異文化との接触というテーマは大好きなので、これも面白かった。この人は長篇だけ翻訳されてるようだけど、質の高い作品も多いので、短編集がでていないのはおかしいと思うけど。

レイ・ブラッドベリ『罪なき罰』

 愛する妻に裏切られたヒルは、妻そっくりのロボットを殺す。しかし、それは非合法の行為だった・・・・・・。

 あまり好きではない、物語パターンなのですが、やはり描写の妙があって、引き込まれる。しかし、辛い話です。

ロバート・ムーア・ウィリアムズ『ロボット還る』

 一枚の古い星図をたよりに、その小さなロボット達ははるかな星からやってきた。祖先を、ふるさとを求めて・・・・・・。

 なかなかいいです。ロボットが機械から、ロボットへの進化の過程をさぐる発言とか、廃墟の中を行く様とか、なんだかぐっとくる。

斉藤守弘『サイエンス・ノンフィクション(2) 失われた大陸を求めて』

 アトランティスの伝説とかがよくわかってよかった。レムリア大陸っていうのもあるんですねえ。

アイザック・アシモフ『地上にいっぱい太陽を』

 アシモフ博士の科学エッセイ。

アルフレッド・ベスター『ごきげん目盛』

 パラゴン第三惑星で子どもが殺害される事件が起きた。子どもの爪にはアンドロイドの肉片が・・・・・・。アンドロイドは人を殺せないはずなのになぜ?

 アシモフのロボットシリーズのようなお話。性格の投影で、おかしくなっていく主人公の様子が、ぞっとするところまではいかないが、なかなかこわくていい。おかしくなったロボットがちょっとおかしくて好き。

日下実男『地球物語(24)―地球の生成から消滅まで―』

 人類の進化を、人類自身の手による改造とするところが面白い。サイボーグ、或いは生体的な改造をほどこした人類が数世紀後には普通になっている気が僕もする。

さいえんす・とぴっくす

 アメリカで防空壕が注目されているらしい。冷戦時代を反映するニュースです。どうせ放射能で汚染された世界で、みんな死滅するんだから、そんなもん意味内だろっていう見解も載せられていて、面白い。

多岐川恭『愛の宿り』

 ある石を拾い上げた宗雄。突然、現れた女性はその石に乗って、地球にロマンスを求めてやってきたのだという。

 この人には『未来のイヴ』というSFミステリがあるそうです。最後にちょっとしたどんでん返しが待っていて、面白い。

星新一『白昼の襲撃』

 酒場を経営しているエル氏のもとにおかしな客がやってきた。その男はテレビや電話に拳銃をぶっ放し、金鉱を見つけたのだ、と息巻く・・・・・・。

 タイム・スリップもの。なかなか面白い。星新一の乾いた文章は、独特のものがあって、すごく面白い。

草下英明『スペース・ファンサイクロペディア⑤ 続・太陽系アウトロウ』

 地球の周りにはけっこう小惑星がとんでるなあ。

ウィリアム・T・パワーズ『全船退避せよ!』

 色めきたった宇宙塵部から、ただちに非常警報が飛んだ。大隕石接近!地球・火星間航路の全船舶は緊急退避せよ!

 うーん、微妙。小惑星の資源を掘ってる人の話には、ちょっと興味を覚えたけど。

サイエンス・スクリーン

 ヴェルヌ原作の『神秘の島』の紹介。

アイザック・アシモフ『災厄のとき』

 世界の計画経済を司る万能の電子頭脳が、突然、原因不明の経済事故を引き起こした。次にくるものは世界恐慌と・・・・・・そして戦争か?

 これは『われはロボット』にも収録されていて、お気に入りの作品。人間という存在の不完全さを、つくづく感じます。

ウラジミール・サフチェンコ『プロクシマ目指して』

 快速で自転する怪惑星上に、無数のミサイル群を乱舞させる知的生命の正体は?現代ソ連SF界の新鋭が、壮大なスケールで暗黒の宇宙に描く力作!

 とのことですが、僕には微妙だ。この作品の最後は照れくさいし、途中で頑迷に自説を曲げない船長が、少数派であるのに自説を押し通し、それがさらに間違っていたとあっちゃあ、「なんだそりゃ?」っていう感じ。

 総評:今号はロボットものが、どれも当たり。いずれも、違うシチュエーションであり、様々な味が楽しめてよかった。でも、一番感慨を覚えたのはオリヴァーの『雷鳴と陽のもとに』。ありがちっていえば、ありがちかもしれないけど、しみじみとしたラストはいいです。
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