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SF素人が空想科学小説に耽溺するブログ。

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SF読もうぜ⑤『SFマガジン』1960年6月号 ソビエト作家特集

1960年6月号


 創刊の祝辞がブライアン・W・オールディスの『宇宙葬』という詩に変わっている。いい詩だ。

 二ページ目の挨拶に、「某新聞の文芸欄に出た記事」について言及し、「SFファンは、こうした無責任な偏見や障壁を乗り越えて日増しに増加し、いまわれわれは明らかにSF不振のジンクスを破りつつあります。」と語り、SFに対する偏見を打開しつつある、と述べている。どういった時代かがわかり、興味深い。

エドモンド・ハミルトン『世界のたそがれに』

 人類最後の人間になったガロス・ガンは人類存続の意志をあくまでも、捨てなかった。彼は死人を甦らせ、地球を原始から創造し、人類の存続のために不断の努力を続けるが・・・・・・。

 死人をよみがえらせて生活させるという場面が、おぞましくも、興味深い。ハミルトンといえば、キャプテンフューチャーというイメージがあるが、こういった短篇も面白いなあ。

ロバート・シェクリイ『暁の侵入者』

 ディロンはある惑星にたどり着き、そこで出会った知的生物の心に侵入する。この星を侵略するためだ。人類は人口爆発の末、他惑星に住む知的生物を精神的に乗っ取り(乗り移り)、その惑星を支配してしまうのだ。ところが、今度の敵はものすごく手ごわい奴だった。精神の内部で凄まじい闘いが繰り広げられる!

 いやあ、ものすごく面白いです!侵略ものを逆手にとって、今度は人類が侵略にまわるという発想がすごいです。内宇宙での戦いの描写も面白いです。シェクリイは一冊だけ積読になっているのですが、さっそく読みたくなりました。

アイザック・アシモフ『無限・バラエティ』

 無限についての解説。正直、数学の成績は最低だったので、よくわかんない。

ポール・アンダースン『生活環』

 水星の夜の部分に棲む水星人は昼の部分に棲む彼らの「神」の命令で他星人との対話を拒否し、さらに彼らを死に導こうとしていた。ナヴァロとキングズベリーは生殖とみられる、彼らの儀式にもぐりこみ、神の正体を見極めようとするのだが・・・・・・。

 煽りの文が、「常夜の水星の夜地帯に棲む水星人のセックス・ライフ!どうぞ、偏見なしにお読みください。」となっているので、ものすごく期待して読んだんです。「バカSF」じゃないかと思って。しかし、けっこうマトモな話だったので残念。でも、こういう宇宙人の生態ものは大好きなので、けっこう面白かった。

岡俊雄『SF映画展望⑤ H・G・ウエルズとSF映画・下』

 『透明人間』『奇蹟人間』などの紹介。

アーサー・C・クラーク『月のダイヤ』

 恐妻家の科学者ペインター博士はダイヤモンドの研究の権威だった。彼は月面の噴火口で大きななダイヤを発見するのだが・・・・・・。

 途中で結末がわかってしまうので、そうたいした話ではないです。小粒な作品。

S・Fらいぶらりい

 戦後翻訳出版された海外SFの紹介。

日下実男『地球物語(5)』

 オズマ計画を挙げて、生命の誕生や定義を解説。

さいえんす・とぴっくす

 ソビエトの科学者が伝説を解析して石油を掘り当てた話が面白い。

アイザック・アシモフ『死亡記事』

 脚光を浴びることのできない科学者ランスロットは、未来の物体を複製して現在に持ち帰る装置を開発した。しかし、生物を複製するとその生物は生体ではなく死体となって現在にやってきてしまう。彼は奥さんにたのんで、劇的な効果を挙げようと自分を複製し、葬式まで行うのだが・・・・・・。

 まあ、オチの予想はうすうすついてましたけど。黒い話です。装置の設定が細かすぎるのと、ご都合主義すぎるのが、この短篇の弱点だと感じました。でも、けっこう楽しめた。自分の葬式と死亡記事を読むってシチュエーションがそそります。

チャールズ・ボモント『モンスター・ショウ』

 史上最大のTVショウが行われようとしていた。

 SS。オチの意味もよくわからないが、途中の訳者注も、よくわからない。誰かわかる方がいたらご一報を。

ワレンチーナ・N・ジュラブリョーワ『大隕石』

 落下した隕石の中に小さな金属の筒があり、それが宇宙人を乗せた宇宙船だということが判明した。中には生体コンピュータともいえる「脳」が入っていた・・・・・・。

 まず、作品の感想より、名前がすごい。東欧とか、ロシアの人の名前って妙にインパクトがあります。作品も重力エンジンとかでてきてなかなか楽しい。発表詩が『技術青年』という科学誌だそうですが、名前がプロレタリア文学の雑誌みたい。まあ、そりゃそうか。共産圏だし。

アレクサンドル・コルバコフ『宇宙の漂泊者』

 宇宙を永らく旅していたせいで、地上との時間の差異が数世紀も出てしまう「相対人」の一人であるルソフは、新たに宇宙の旅へと出発する。そこで、彼は様々な困難に直面することに・・・・・・。

 えー、個人的な感想を言わせていただくと、「つまらない」。なんだか、明治の政治小説やプロレタリア文学を読んでいる気分だ。「地球勤労者会議」など出てくるのがいかにも共産圏。ただ、「相対人」の暮らしぶりなんかは少し面白かったけど。っていうか、見知らぬ土地を旅するんだから無防備に外に出るんじゃない!ロボットの斥候ぐらい使わんかい!80世紀の人間だろ、キミ達は!

I・S・シクロフスキー『宇宙人との電波通信』

 宇宙人との電波通信のやり方や、可能性をインタビュー形式で解説。

SF事典(4)

 テラ(ラテン語に語源をもつ、大地、地面、土壌、地球の意味)、タイム・トラベル(時間旅行。タイムスリップとは区別される)、テレポーテイション(精神感応移動。テレキネシス、ジョウント効果、クゥイミングなどというのもある)、グラヴィテイ・ベルト(重力ベルト。重力コントロール装置のついたベルト。重力をコントロールして空を飛んだりできる)。

 楽しみにしている『二十一世紀の夢』はお休み。さみしい・・・・・・。
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