野田宏一郎『SF英雄群像⑬英雄たちの時代その1 ガーンズバックとその周辺』
サイエンス・フィクションという言葉を作った男のお話。今回から、実在の人物に光を当てる様子です。
◎
ロバート・シェクリイ『われらは孤独』
つい先刻まで居住者がいたはずなのに、地球からはるばる十六光年の空間を渡ってきた平和使節が、一歩踏みこむと、もはや影も形もなかった・・・・・・。
なぜ彼らは逃げるのか?ミュータントものの逆手をとった作品で、なかなか面白かった。こういうニヒルな笑いをしてしまう作品は好きだなあ。
○
ルイス・パジェット『次元ロッカー』
酔っぱらい科学者が発明したそのタイムロッカーは、なんと、時限ロッカーでなくて、次元ロッカーだったのだ!
次元ロッカーの中に物が入っていく様子が好きでした。ラストはちょっと嫌いなんだけど、巨大な手が出てくる様子が視覚的に面白かった。
○
クリフォード・D・シマック『気で病む男』
新聞の原稿整理係のチャーリー・ポーターはにはある心配があった。彼はいくつかの事件の関連に思い当たり、ある少年に会いにいく・・・・・・。
なかなかよかった。「少しくたびれた理想主義者」というのが、僕のシマックに対する印象なのですが、これも理想主義者の少年とそれに共鳴しながらも、現実との折り合いを考える語り手の関係性にそれが見えると思います。でも、この純粋性が僕は好き。
○
筒井康隆『お紺昇天』
未来が創る楽しみの、数ある中に人生の、喜びいや増すロボット・カー。姿も美しし声もよし、その名はお紺!
たしか中学生のとき、初めて買った短編集に入っていた。悲哀だけじゃなくて、全体に漂うユーモアがいいです。眉村さんの短篇にも同じく車のお話がありましたが、それに対抗したのでしょうか。この前の号の予告では、『不死身の十分』と記されていますから、変更されたのか、書き直しになったのでしょう。
草下英明『SF宇宙生物学講座 宇宙は生命に満ちている』
火星に生物がいたら、それはどんなものか?というお話。
○
ウィルスン・タッカー『仕事は終わった』
探偵のエヴァンズのもとに、アーサー・ジャクスンというマンハッタン計画の重要人物から、消えた妻を捜索してほしい、と依頼が入る。しかし、エヴァンズの正体は・・・・・・。
非常に眠たくて、頭によく入ってこなかった。が、やっぱりつまんないと思う。←というのはだいぶん前の感想。けど、軽くパラパラ読んでみると、それなりに面白い。こっちの読書に対する態度がまずかった。眠いときに読んではなりません。
伊藤典夫『マガジン走査線』
SFの定義について。ジュディス・メリルのひたすら「S」と「F」の語彙を並べているのには、ちょっと笑ってしまいました。実は僕は『天使と宇宙船』に書いてある定義にはすごいうなずいてしまうんですね。これが、たぶん僕のSF観に一番マッチします。
SF DETECTOR
イタロ・カルヴィーノの『木のぼり男爵』が取り上げられている。カルヴィーノは読んだことないので、図書館で借りてきて読んでみたい。
さいえんす・とぴっくす
猛犬もこわくない(米) 犬が襲ってきたら麻酔剤をぶっかける噴射機が開発されました。本気?
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ジョン・ウィンダム『生存者』
難破した宇宙船の中で時々刻々迫りくる死の影を追いはらう勇気のある者は、必ずしも屈強な男だけとはかぎらない・・・・・・。
うーん、恐怖を通り越して不愉快な感じ。ホントにウィンダムの作品か?と疑ってしまう。フェミニズムの人に怒られそう。
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ミハイル・エムツェフ&エレメイ・パルノフ『超新星の落下』
ヒットラー親衛隊の兵士たちがそれに銃弾をぶちこんだとき、TNT火薬とは比較にならないすさまじい爆発が起った!
半分眠りながら読んだので、よく意味がわからなかった。でも、たぶんしゃっきり起きていてもわからなかったと思う。
スタニスラフ・レム『ソラリスの陽のもとに』
とばしました。
総評:ベストはシェクリイ。なんか評が偏ってますね。シェクリイが大好きです。シマックもなかなか好きです。筒井さんの作品は懐かしい友人に会ったような感慨。
人気カウンター①新ロト記②われら誇りもて歌う③第二の機会④還らざる空⑤火星地下道 新ロト記が一位なのはわかる気がします。ただ僕の美観に合わないだけで、作品としてはユニークだと思いました。
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