○
『ノアの世代』
彼らは地下シェルターへ走った。わずか数秒の遅れが命とりになる。
地下シェルターか。僕の家にはないですけどね、核が拡散している今、作らなければいけないような状況まできてるんじゃないですかねえ。しかし、北朝鮮は核で脅迫して、お金もらってるんだから、とんでもない国家だなあ。
◎
『ブルックリン計画』
航時機を過去に飛ばして、四次元を開発するブルックリン計画。しかし、航時機が過去に飛び立ったとき・・・・・・。
さすが、短篇の名手と、初めて呼んだ時に拍手を送った作品。
△
『暗い星』
五人の男が初の月飛行のパイロットとなるために争っていた。その権利を勝ち得た主人公は出発前日にあることを告げられることとなる。
うーん、そういう選択をするのは嫌いだな。どうせなら、一代限りでも、自分の夢のために勝負してほしい。
○
『非P』
第二次原爆大戦の数ヵ月後、ダニエル・グラート博士は人類の究極的な社会的進歩を生み出すことになる発見を偶然に行った。あらゆる点で平均値の男、ジョージ・アブニーゴーを発見したのだ。
なかなか面白い。少年漫画ではこういう設定の人物がときたま登場するのですが、それを人類の災禍の後にもってきて、こういう使い方をするのがすてき。ヴォネガットの『ハリスン・バージロン』と似たようなものを感じました。
○
『進路を東へ!』
荒廃したアメリカ合衆国では、インディアンたちが多くを征服し、白人はインディアンの侵攻に、その領土を後退させていた。ジェリー・フランクリンはインディアンと交渉をしに、赴くのだが・・・・・・。
アメリカの歴史と逆の道をたどるように東部へと撤退する白人たち。白人としての罪悪感のようなものを感じる作品です。やはり、破滅後の世界というのは面白い。
○
『脱走兵』
自分が脱走兵であると自称する木星人との通訳をするために、マーディンは赴くのだが・・・・・・。
うーん、最終的に破局に向かうのがテンの特徴なのでしょうか?いい話になると思いきや。いや、いい話には違いないんだけど。
○
『ベテルギューズの橋』
宇宙から二人の来訪者が訪れた。彼らの姿はかたつむりそっくり。彼等が地球を訪れた目的とは・・・・・・?
かたつむりそっくりの宇宙人が来たら、僕だって目をそむけます。かたつむり宇宙人に親近感を持たせるための、広告屋の手腕が面白い。
○
『もう少し速く歩いてくれないか?』
小説家である語り手は、背の小さな「おやじ」の円盤にさらわれて、宇宙人たちの会議に参加させられる。そこで、議題となったのは・・・・・・。
狂騒的な前半についていけなかったのですが、後半は実に面白かった。人間の科学の発展がなにかに操られている、っていうアイデアが僕は好きです。
○
『それはかちり、かちりとちらついて終る』
核爆弾実験の失敗後の世界。マックス・アルベンは過去に戻って、実験を成功させようと努める。
最後のオチがいいです。こういうループ状の作品っていうのはあまり好きではないですが、これはいい。
○
『宇宙のリスボン』
なにかの手違いで宇宙人スパイの会合に巻き込まれたスミス。彼は地球を救おうと機知を働かせるが・・・・・・。
途中までは、むちゃくちゃ面白かったんですがねえ。最後でがっくり。
◎
『男性の反乱』
1990年から2015年にかけて起こった男性反乱の歴史を描く。
はっはっは。笑えます。社会をしっかり描いてあって面白い。フェミニズム運動を男性に置き換えただけかとも、思いましたが、それ以上の暴走ぶりに同じ男性に対する皮肉がきいてるなあと思いました。
総評:やはりベストは『男性の反乱』。こういう馬鹿馬鹿しいのは大好きです。でも、馬鹿馬鹿しいだけでなくて、読んだあとに残るものがある。現実の風刺としての物語であるだけに、その置き換えがどうなっているかわかると、笑えるだけではなくなってしまう、チクリと刺す毒針を持った作品群だと思います。さっそく2の方も読みたいと思います。
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