いしかわじゅんの「リトル・メジャー」に対して、「ビッグ・マイナー」という呼称を持っていた吾妻ひでお。ところが、昨年、日本漫画家協会賞大賞、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、手塚治虫文化賞マンガ大賞を『失踪日記』で征しました。
今日はそんな吾妻ひでおのSFギャグ漫画『
不条理日記』。昭和54年度星雲賞コミック部門受賞作。
これはストーリー紹介が難しい・・・・・・。なんせ
不条理ですから。説明できません。基本的には漫画家吾妻ひでおの周囲で起こる不条理・不可思議なできごとを日記形式で描くという漫画。
星雲賞受賞作ということからもわかるようにSF作品です。しかも、
SFファンにしかわからない。
「○月×日
アミガサにとっつかれる」→ブライアン・W・オールディス『地球の長い午後』
「○月×日
電気ヒツジを買う」→P・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
「○月×日
おばあさん九〇〇人とすれちがう」→R・A・ラファティ『九百人のお祖母さん』
ほかに『結晶世界』『ブレードランナー』『戦国自衛隊』『超少女明日香』などSFジャンルネタが満載。また、作者は筒井康隆の信奉者であり、筒井ネタもたくさんあるのがファンとしては嬉しい。これらがわかる人にはきっと楽しいはず。
『不条理日記』の記念すべき1頁目は、「
○月×日 酒を飲む」になっており、作者がブルブルと手を振るわせながら、「
こう毎日だとアル中になるかもしれないな」と呟いているのが僕には印象的でした。表紙もグラスに酒を注ぐ吾妻ひでお。ほとんどの作品に作者が登場する吾妻ひでお作品。『失踪日記』へと続いていく過程を追うのも一興かもしれません。
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