珍しく新刊のレビューを。本日は豪華執筆陣によるアンソロジー
『日本ふるさと沈没』。
1973年、日本全土を震撼させ300万部を越えるベストセラーとなった小松左京の『日本沈没』。その再度の映画化に合わせ、吾妻ひでお、鶴田謙二、いしいひさいち、寺田克也、安永航一郎、とり・みき・・・・・・などの豪華執筆陣を迎えて放つ『日本沈没』パロディマンガアンソロジー!
参加漫画家陣のふるさとを沈没させてしまおうという今回の企画。とりあえず、
鶴田謙二や安永航一郎の新作が読めるだけでもよしとしよう!正に夢のような作家陣を取り揃えた徳間書店はなかなかエライと思いました。
あまりマンガに順位や点数をつけることは好ましくはないのですが、とりあえず自分のお気に入り順に五つ作品を挙げてみると・・・・・・
第五位 伊東伸平『所沢沈没』
細かいネタを散りばめながらも、きちんとオチをつけるというしっかりした作品。特にキスシーンがよかった。オチはバカSFしててよい。
第四位 空ヲ『古都消失』
このマンガの企画をきちんととらえた良作。特に日本沈没に先駆けて
観光客が押し寄せすぎて阪急電車の地下道を踏み抜き京都だけ一足先に沈没するという設定が心憎い。特に
スクール水着があざとくて良。
第三位 鶴田謙二『沈没ラプソディ』
小松左京の『日本沈没』の世界を描いた作品。小野寺怜子と阿部俊夫の恋愛を描く。
へんてこなオヤジ、グラマーな女性、とぼけた青年など鶴田風にアレンジされたキャラたちが愛らしい。
第二位 寺田克也『しあわせな桃太郎』
童話『しあわせな王子』をモチーフに岡山駅前に立つ
桃太郎の銅像が一人語りする物語。最後は『あずまんが大王』のちよちゃんを思い出した。
第一位 いしいひさいち『岡山沈没』
やはりパロディを描かせればこの人の右に出るものはいない。岡山の歴史をストーリーに絡ませたその地域性もこの企画の意図を理解していて素晴らしい。
ほかに吾妻ひでお『帰郷』、『岸和田博士の科学的愛情』のトニーたけざき『ちんぼつニッポン』安永航一郎『日本沈没責任論』も面白かったが、こちらの期待の上をいかなかったのが残念。『帰郷』はちょっと短すぎですよ。『
ちんぼつニッポン』は題名を見て
絶対下ネタでくると思ったのに・・・・・・。安永航一郎は不謹慎さが足りなかったんです。だって、作者の名前のところに「
竹島沈没まんがを没にされた安永航一郎」って書いてあるんだもん。こっちがどうしても読みたくなっちゃったんだもん。安永航一郎には新雑誌『リュウ』での新連載に期待をかけています。以上のようにものすごく個人的な理由でランク外です。
ところで、とり・みきに「二部は?」とマンガ内で指摘されております小松左京ですが、『日本沈没』第二部が谷甲州との共著ででます!SF者は絶対読むべし。
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