ある日、ニューヨーク市の時間がおかしくなりはじめた。全世界でもこの街でだけ、時計がどんどん遅れていくのだ。しかも街の場所ごとで遅れ方が違う。前代未聞の事態に著名物理学者が言うには「異次元世界のエイリアンが我々の時間を少しずつ盗んでいるのです」!?議論は際限なく続くが、その間にも時間は本当になくなっていく。大騒動の顛末は?巨匠が贈る時間SFの新機軸!
なかなか面白かった。今日はネタバレしてますので、読んでない方は目を通さないほうがよろしいかと思われます。
「時間泥棒」というとミヒャエル・エンデの童話『モモ』を思い出します。そういえばあれも時間テーマですね。大好きな一作です。
さて、こちらは当初「異次元のエイリアンが時間を盗んでいる」という話で、主人公の警官が動き出したわけですが、速攻で否定されてしまいました。この設定も捨てがたいのですが・・・・・・。まあ、正体はバグであったと。
電子機器の周囲の時間が好き。この前読んだ『雷獣バヴェリ』を思い出しました(これは電気を食う宇宙からの飛来生物の話)。ただ、こちらは時間を食うわけで、各地域で時間がバラバラになってしまうのが面白いですね。バグのいる場所の周囲だけ、時間が遅れているのでゆっくりに見えるという部分が好きです。スローモーションの人間やら、高速で動いている人間を生で見てみたいなあ。
途中、バグ退治作戦のために避難勧告が出されるのですが、そこでわざわざ街に居残り、無人の街や崩れたビルを見学したりする人間の話がでてました。わかる!わかるよ、その気持ち!僕もいつか軍艦島に行くのが夢です。
ホーガンはなにやら難しい科学解説をしてくれているのですが、こちとら科学に弱いのでサッパリです。生物の点数はよかったんですけどねー。物理はいつもランニングの掛け声でした。私立文型ですし。僕の感じるSFというのは、作用だけでしかないので、ハードSFを読むときには気後れを感じてしまいます。ただ、この作品はそうでもないコミカルな部分も多くていいですね。時間を哲学の部分で解説してくれるのもよかったです。物語のキーマンになる神父の存在もよかったですね。ホーガンは魅力的な登場人物の造形がうまい人だと感じました。
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