西暦2070年、タングステンと交換に〈平行宇宙〉からプルトニウム186がもたらされることが判明した。われわれの宇宙に存在しないこの物質は、無公害で低コスト、しかも無尽蔵のエネルギー源として歓迎され、両宇宙をエレクトロン・ポンプでつないでのエネルギー交換が実施された。だがこの魅力的な取引には、恐るべき落し穴が隠されていた・・・・・・SF界の巨匠が満を持して放ち、ヒューゴー、ネビュラ両賞受賞に輝いた最高傑作。
面白かった!
物理学や化学には疎いので、理論的なところはちんぷんかんぷんですが、平行宇宙と物質を交換するところなどの考え方が面白かったです。
小説的な面では、エレクトロン・ポンプを開発した「巨人」との対決が主なテーマで、それが「神々自身」という題名にもつながっている。大きな権力に立ち向かっていく主人公という形式の話は大好きなので、この話も心地よかったなあ。
第二部で展開する平行宇宙の生物たちの生活様式がとても面白くてよかったです。三人組の夫婦(?)という形態が面白かったし、それぞれに形態が違って、役割が違うというのも、実によかった。特に感性子であるデュアという女の子(?)が魅力的でした。軟属の身体構造が、不定形生物なので、大好きでした。デュアのように僕も岩に体をこする背徳的な遊びを楽しんでみたい。
第三部での月人の生活や人生観みたいなものも、楽しめました。ここでも魅力的なヒロインが登場。そして、ラブストーリーに。最後の数行にはやられましたよ。理性的であろうとする主人公の発言や姿勢が気持ちいいですね。
まあ、人にはそれぞれ事情があって、本人が意識していないところでも、その利害がぶつかりあっている、と。それによって、自分の見るものを曇らせてはいけませんよ。そんな小説でした。それにしても、アシモフ博士のもみあげは素晴らしいなあ。もちろん、作品そのものも素晴らしいかったデス。
アシモフの他作品の感想
『神々自身』
『火星人の方法』
『サリーはわが恋人』
『鋼鉄都市』
『はだかの太陽』
『永遠の終り』
『ファウンデーション』
『ファウンデーション対帝国』
『第二ファウンデーション』
『ファウンデーションの彼方へ』
『ファウンデーションと地球』
『宇宙気流』PR
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