高度経済成長期の日本。昔は野生のカッパも普通に見かけられたが、今はすっかりいなくなってしまった。そんな中、人々の間で養殖されたカッパをペットにすることが密かなブームになっていた。都会で一人暮らしをすることになった「私」もペットショップで赤ちゃんカッパを購入し、「かぁたん」と名付けた。
昭和ブームが到来しているらしいです。昭和五十八年生まれの僕としては、気づいた時には平成だったので、あまり感慨はありません。ですが、僕の父上は昭和二十八年生まれ。『三丁目の夕日』や『佐賀のがばいばあちゃん』がストライクゾーンだったらしく、最近、やたらに昭和に凝っています。
さて、『カッパの飼い方』は高度経済成長期を舞台にしたカッパ飼育という、実に不可思議な漫画です。しかし、これが面白いんだ。
僕の友人の中国人は、ドラマの『西遊記』に変な生き物が出てると言っていました。それは、河童。カッパは中国にはいないそうです。悟浄は水の妖怪ではあるけれど、カッパではありません。日本に輸入されたときに、カッパになったようです。
それほど、日本人には馴染み深い架空動物カッパ。相撲とキュウリが好きで、いたずら好き。尻子玉を抜いたり、人や動物を水に引きずり込んだりもする怖い面も喧伝されています。そういった数々の伝承を物語りに取り入れながら、けっこうリアルに、細分もらさず語ってくれる。カッパの習性や、身体構造の考察など、けっこうSFしているところがうれしいではありませんか!
ところで、主人公が飼っているカッパの「かぁたん」はちょっと賢さが他のカッパに劣っているようです。しかし、ペットの場合、バカな子ほど可愛いわけで、かぁたんのボケっぷりには毎回にやりとしてしまいます。
カッパであるのになすすべもなく溺れたり、コンセントを噛んで感電したり、鏡に映る自分の姿を敵と間違えたり・・・・・・。か、かわいいじゃないか!家で飼っている犬に重なる部分もあって、主人公にはけっこう感情移入してしまいます。
ちょっと意地悪してみたくなるんだよねー。
さて、下ネタ好きの僕としては、カッパに与えてはいけないものの中に、
おとなのおもちゃや
エロ本があるのに笑ってしまったのですが、その理由が
将来エロガッパになってしまうから・・・・・・というので、またひとしきり笑ってしまいました。ギャグ漫画家としての石川優吾が味わえる作品です。それだけでなく、環境問題や消えていく古きよき時代の慣習など、現代の日本からなくなりつつあるもの、或いはなくなってしまったものを偲ぶ、心の琴線に触れる漫画でもあります。
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