アンドレイ・クザコフ『21世紀の夢―月世界観光案内―』
著者は草下さんのようだ。
サイエンス・スクリーン
月がテーマの映画特集。
○
マレイ・ラインスター『対決』
『宇宙(そら)行かば』シリーズ。月面に放置された二本の酸素ボンベ。それは二人の青年将校のどちらかが帰ってこないことを意味した。
テレビドラマのノベライズだそうですが、なかなか面白い。だけど、予定調和に、ちょっと安っぽいかなあとか思ってしまう僕は、きっと心が汚れているのでしょう。
○
光瀬龍『晴の海1979年』
ソ連隊とアメリカ隊が月で消息を絶った。その原因をさぐるべく月へと降りたった日本隊。そこで、彼らを襲ったものとは・・・・・・。
うーん、いい。光瀬さんは『宇宙塵』同人だそうですが、これがデビュー作ではなく、これ以前にも商業誌には作品が載せられているとのこと。そういえば、コンテストのときでも、奨励賞みたいなのに平井和正と共に名前が載っていました。
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エヴァン・ハンター『あの月百万ドル』
ある雑誌社に一人の男が「記者に百万ドルを払っていただきたい」とやってきた。当惑する社長だったが、ことの発端は二十五年前に行われた「月コンテスト」にあるらしい・・・・・・。
えー、この人はエド・マクベインと同一人物なんだそうです。そういえば、87分署シリーズは昔数冊読みました。ほかにも『暴力教室』も違う名前で書き、一人五役をこなしているそう。すごい人だ。
☆
フランク・M・ロビンスン『英雄はごめんだ』
単調で、危険な月での生活に、皆、嫌気がさしている。チャップマンはその滞在期間の長さと、性格から、月での滞在期間延長を懇願されている。しかし、彼は懐かしい地球になにがなんでも帰ることを決意しているのだ。
全員、月を憎悪しているという状況の新鮮さ。人物描写も面白い。アイデアではなく、未来に生きる人間の感情で魅せる作品。不自然さをあまり感じさせないような作りになっているラストも好き。いい作品です。
○
アーサー・C・クラーク『前哨』
月で、ある山に登った男が発見したものとは?
ご存知『2001年宇宙の旅』の前身的作品。それなりに面白い。
斉藤守弘『サイエンス・ノンフィクション[6]月人説を斬る』
というわけで、月に生物はいない!と「と学会」のようなことを述べています。
草下英明『スペース・ファンサイクロペディア⑨宇宙はみんな左巻き』
生命の高分子も左巻き。クラークの『エラー』では体が反転してしまった男の身体構造が右巻きになっちゃって・・・・・・というのがあって面白かったなあ。
石森章太郎『迷子』
浮気調査をしていた探偵は偶然出会った娘に、父親の行方探しを依頼される。その娘はタイム・マシンに乗ってきたというのだ。
うーん?マンガというよりは絵物語に近い。今のマンガ技法からいうと、すごく下手くそなんですが、まあ、日本マンガも発展途上なんだということがわかります。
さいえんす・とぴっくす
「空飛ぶ放送局出現」の記事の写真に『機動警察パトレイバー2』で、ジャミングをし続けていた飛行船を思い出しました。似てる。
×
レイ・ブラッドベリ『もののかたち』
新型分娩機と催眠機がショートして生み出された赤ん坊は、六本の触手と、三個の眼をもった青い小さなピラミッドだった。
全然ダメでした。夫の暴力行為とか、妻の狂気じみた行動だとか、読んでて不快。
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レスター・デル・リイ『俺はだれ?』
「彼」は目覚めると自分が誰だかわからなくなっていた。どうやら、記憶喪失にかかったらしい。彼はそう思い込んでいたのだが・・・・・・。
面白いっす。やっぱり、こういう自分を失ってしまうとかいう話は大好きなんですよねえ。悲しみに満ちたラストも好きです。
相島敏夫『あの月を射て―レインジャーからアポロまで―』
レインジャー計画とアポロ計画を解説。
斉藤守弘『月人服をデザインする』
題どおり。
関口直甫『月の素顔』
対談形式で月の様子を解説。
井上赳夫『未来レポート・月基地』
月基地について、未来人によるレポート。
◎
ジョン・W・キャンベル・ジュニア『月は地獄だ!』
帰還用宇宙船の事故で月に取り残されたガーナー月世界探検隊。食糧はわずか、酸素も残り少ない。彼らのサバイバルは始まった。
ちょ、超面白い。月面のロビンソン・クルーソー、いや、十五少年か?淡々と日記に記されていく彼らの闘争が、真にせまっていてグッド。月の資源を開発して、水や酸素を作り出すところもいい。しかも、人間との闘いもこれから待っていそうだ。次号にも期待。
総評:宇宙ものにはそんなに思いいれはないのですが、なかなかよかった。『英雄はごめんだ』はお気に入り。でも、やっぱり、印象を『月は地獄だ!』にさらわれた感じです。早く次号を読みたい。
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