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SF素人が空想科学小説に耽溺するブログ。

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SF読もうぜ(92) フィリップ・K・ディック『ウォー・ヴェテラン』

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フィリップ・K・ディックの短編集。


『髑髏』

 囚人コンガーは、議長にある取引を持ちかけられる。過去に戻って、ある宗教の教祖を殺害してくれば、社会復帰させてやる、というのだ。しかし、その教祖に関する情報は、一つの頭蓋骨だけであった。

 オーソドックスな時間ものでした。まあ、そのぶん、物足りない感じはするものの、破滅後の世界で、昔の姿を再現しているとか、細かな設定は好きです。

『生活必需品』

 彼女の夫は戦争に行った。そして、息子も。それは、それぞれの惑星が埋蔵している「生活必需品」のため・・・・・・。

 風刺的な作品。僕も昔に帰れっていわれるのはいやだけど、昔の人々から見れば、今の生活は羨むものなんでしょうねえ。いくつか出てくるドラえもんの秘密道具みたいなのが好きです。

『造物主』

 ある小惑星に到着したエラー少佐一行。彼らは強烈な放射線を浴び、意識を失う。急いで小惑星を離れた一行だったが、体に変化が・・・・・・。

 ただ単に変化するんじゃないのがいいですねえ。後半に登場する五体が好き。ただ、最後のオチにはニヤニヤするばかり。『トータル・リコール』のラスト・シーンを思い出しました。とりあえずキスしとけ、みたいな。

『トニーとかぶと虫』

 「かぶと虫」との戦争が人類に不利になったというニュースが飛び込んできたその日も、トニーは「かぶと虫」の居留地に遊びに出かけるのだが。

 辛い。辛いよー。純粋な子どもの心を、状況が打ちのめしていく。それでも、その歴史の複雑さは、現在の日本に繋がるような気もして、トニーの気持もよくわかるなあ。でも、このラストはどう受けとればいいのだろう。

『火星人襲来』

 火星人たちの地球襲来は刻々とその数を増している。ジミーは火星人を発見したら、素早く逃げ出して、近くの大人を呼んでくるように、パパに教育されているのだが・・・・・・。

 うーん、いまいちなにがいいたいのかわからない。あまり呼んでて気持いい物語ではないですね。

『ウォー・ヴェテラン』

 火星・金星の植民地に独立の気運が出ていた。しかし、政府のキャンペーンで地球人たちは火星人・金星人への敵意をむき出していった。そんな折、未来から一人の老兵が地球敗北の報をもたらしたのだった・・・・・・。

 これは『歴戦の勇士』という題で、別の短編集にも収録されていました。サスペンスとして、素晴らしい作品。政府のキャンペーンとか、やっぱり権力に対する懐疑がみえていていいですね。個人的な感情を超えて融和に歩み出そうとする姿がみえていい。

 総評:うーん、そうたいした短編集でもないような。と、いうのは個人的な嗜好で、現実の揺らぎを感じる作品が少ないからなのですが。しかし、ページ数が少ないし、既読もあったし、なんだか読み足りない感じは否めないかな。
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