コンラッドと名乗るその男の過去は謎に包まれていた。だが、彼こそは数世紀にわたる異星人支配者との戦いの歴史に、いくたびか異なる名でその偉業を刻みつけてきた地球の英雄。そして今、密命を帯びた異星人の到来によって迎える危機を前に、再び不死の人コンラッドは立ちあがるが・・・・・・。陽光の下をサテュロスの群れが闊歩し、闇をぬって血をすする妖怪やテッサリアの黒獣が跳梁する世界―――全面戦争後の変わり果てた地球を舞台に、絢爛と繰り広げられるSF未来叙事詩。久々の大型新人として60年代SF界を席巻したゼラズニイのヒューゴー賞に輝く長篇第一作遂に登場!
面白いけどね・・・。なんだか、小説の造りが散漫のように思えるし、テーマ的な深さというか、物語全体を包む雰囲気というか、「凄み」はない。ヒューゴー賞受賞作品だから、期待しすぎたのかもしれないですが。
人食い人種の登場とか、そういうのが、いかにも大衆小説的に使い古されたパターンであったりするのが、どうにもうざったくてしようがない。まあ、そもそも神話を利用して描かれた物語なのですから、物語自体が、過去の借り物にならざるのをえないのでしょうが・・・・・・。
それでも、(みえみえでしたが)巨大犬が救出にやってくるところなんかは、楽しかったし、決闘のシーンもなかなかよかった。放射能で変異した生物たちの様子も好きだし・・・・・・。断片的には楽しめたのですが、やはり、それが一つの作品としてみると、やっぱり、つながりのまずさを感じてしまいます。そして、ご都合主義的な展開や、最後も「それでいいのか?」と思います。
それから、ギリシア神話についても無知なので、「ソフィスティケイト」された会話にもついていけませんでした。しかし、それにしても、ニューウェーブと呼ばれる人たちの文章は理解するのに頭を使う・・・・・・。
まあ、いろいろ文句は言いましたが、それも「ヒューゴー賞受賞作」という点について首をひねるだけで、作品そのものを見れば、なかなか楽しい作品でした。
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