文学の智識―皆無、哲学の智識―皆無。毒物に通暁し、古今の犯罪を知悉し、ヴァイオリンを巧みに奏する特異な人物シャーロック・ホームズが初めて世に出た、探偵小説の記念碑的作品。ワトスンとホームズの出会いから、空家で発見された外傷のないアメリカ人の死体、そして第二の死体の発見・・・・・・と、息つく間もなく事件が展開し、ホームズの超人的な推理力が発揮される。
面白くないわけがない!
霧に煙るロンドン、石畳の街、馬車・・・・・・。僕に欧州への憧れを植え付けたのは確実にシャーロック・ホームズの世界観でした。小学校の卒業文集の「将来の夢」欄に「名探偵」と書いた
痛い小学生の僕でしたが、現実的な将来の夢はベーカー街221Bに行くことでした。今でも行ってみたいことに変わりはありません。
自分がかなり細部まで覚えていることに驚愕するとともに、それだけ心に刻み込まれた物語であることを確認しました。小学生の頃、薄暗い図書館でポプラ社版の背表紙をじっと睨んで、今日はどれを借りようか、ルパンにしようかしら、二十面相にしようかしら、ホームズにしようかしら・・・・・・と胸をドキドキさせていたことを思い出しました。
名探偵の性格とはこうあるべし!という感じがホームズにはするんですね。僕は変人の名探偵が好きです。自分の推理を褒められてぽっと赤くなるホームズのかわいさといったら・・・・・・。警察をバカにするときのホームズの小気味よさといったら・・・・・・。自分の推理の方向性に疑問が生じたときのおたおたする様子とか自信過剰さといったら・・・・・・。名探偵に共通するもったいぶる様子とか・・・・・・。
ストーリーも実にダイナミックで荒野のアメリカとか、こうした冒険的世界観を描くのもドイルはものすごくうまいと思います。『失われた世界』なんかももう一度読み返したくなりました。
さあ、次は『四つの署名』を読みたいと思います。
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