ある日、ベーカー街を訪れた若く美しい婦人。父がインドの連隊から帰国したまま消息を断って十年になるが、この数年、きまった日に高価な真珠が送られてくるという・・・・・・。ホームズ達が真珠の所有者を捜し当てた時、無限の富をもつこの男は殺され、そこには「四つの署名」が――インド王族秘蔵の宝石箱をめぐってテムズ河に繰り広げられる追跡劇!ホームズ物語の2作目にあたる長編。
植民時代の英国の異国ロマン溢れる作品。インドでの暴動の様子や野蛮人の登場など、西洋以外のものに対して下に見ているのは気に障りますが、まあ日本人も同じようなものなので文句は言えないか。当時の英国人にとっては異国は異界だったんでしょうねえ。
もちろん我らがシャーロック・ホームズの推理も冴え渡ります。それだけでなく、今回も川の上での犯人追跡のスリルまで味わえる冒険つき。コナン・ドイルはやっぱり冒険を描くのが得意な作家なのでしょう。とっても楽しいです。
あとがきでは「ベーカー街特務隊」という呼称について、Baker Street Irregularsに適訳がないから使ったと書かれていますが、僕は「ベーカー街遊撃隊」という前に読んだときの呼称が気に入っています。特務隊はちょっと古臭いかな。今時、特務ってなかなか使わないですよね?
ワトスンというのはなかなか愛すべき人物で、ホームズを尊敬し、ホームズにバカにされてもムッとする程度でなかなか度量の広い人物です。さて、この物語はワトスンの恋物語になっているのもミソとなっています。19世紀のプラトニック・ラブを堪能できました。でも、この後、ワトスン博士二回くらい結婚してるはずですが。
次はストランド誌に連載され、英国にフィーバーを巻き起こす頃の作品を集めた『シャーロック・ホームズの冒険』です。いやあ、読むのが楽しみだ!
PR
COMMENT