ホームズのもとに届いた暗号の手紙。時を同じくして起きた暗号どおりの殺人事件。サセックス州の小村にある古い館の主人が、散弾銃で顔を撃たれたというのだ。事件の背後には、宿敵モリアティ教授の影が垣間見える――操作に当ったホームズが探り出したのは、20年前のアメリカに端を発する、恐怖の復讐劇だった。推理、冒険、恋、友情を描ききったホームズ・シリーズ最後の長編。
めちゃくちゃ面白かった!
本書は二部構成です。第一部はイギリスでの殺人事件をホームズが解決。第二部ではアメリカの「恐怖の谷」で幅をきかせる組織のお話。お話全体の位置でいうとモリアティの登場する「最後の事件」に向かう前譚というところでしょう。ただワトスン君は「最後の事件」では「モリアティなんか知らん」といってるのですけれど。
最初の暗号文の解読から興奮です。さらには顔を吹きとばされた死体となっては、ははあ、あのパターンだな、と王道を行く展開です。前半は後の本格派に通ずるような殺害パターンを示してくれ、さらに奥さんの挙動不審な行動だとかで盛り上げてくれます。
第二部では悪の組織に潜入する男のお話。こちらもスリルがあってドキドキします。力がすべてを支配する世界になっているのは西部劇と同じなのでしょうか。開拓時代アメリカの混沌を感じます。作品紹介での冒険・恋はこの部分でのことですね。
ピンカートン探偵局は実際に存在した探偵局だと思うのですが、こういう優秀な探偵も実際にいたのですかねえ。昔、ピンカートン探偵局に関する本を読んだこともあるのですが、今となっては記憶にありません。もう一回読み直してみようかな。
この作品は長編の中では最も好きな作品となりました。
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