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河合隼雄『無意識の構造』

 私たちは何かの行為をしたあとで「われ知らずにしてしまった」などということがある。無意識の世界とは何なのか。ユング派の心理療法家として知られる著者は、種々の症例や夢の具体例をも取り上げながらこの不思議な心の深層を解明する。また無意識の中で、男性・女性によって異性像がどうイメージされ、生活行動にどう現れるのか、心のエネルギーの退行がマザー・コンプレックスに根ざす例なども含めて鋭くメスを加える。

 なかなか面白いです。

 河合さんはユング派の学者だそうで、僕としてはもう少しフロイトの考える無意識というものをしっかり読みたかったのですが、本のセレクトを間違った感がします。しかし、ユングという学者を僕は学術的には信用することができないながらも、非常に面白い世界観を作り上げているというエンターテイナー的な意味で素晴らしいと思います。

 ユングの神秘主義とのつながりというか、普遍的無意識の世界だとか心の曼荼羅模様だとか、わかりにくいところも微妙に入れないところなんですよねえ。

 アニマ・アニムスの話なんかも面白く読ませていただきました。男の抱くアニマというのは実はけっこう都合のいいものであるし、女性にはたくさんのアニムスがいるらしいです。女性のアニムスが強く出すぎた場合にはヒステリックになる、という指摘があるのですが、なるほどねえとテレビに出てくるある女性のことを思い出してしまいました。でも、男性でも同じようなやついるよなあ。

 この本のなかで何冊か小説などが挙げられているのですが、読んでみたくなったので以下にメモしておきます。
  ヘルマン・ヘッセ『荒野の狼』、ハナ・グリーン『デボラの世界』。いずれも精神世界をテーマにしたお話のようなので、たぶん読んで面白いだろうと思いました。

 てっとりばやく知りたいなんて思わないで、きちんと原典にあたらないとまずいなあと読み終わってから思いました。なので、がんばってフロイトの著作から読みたいと思います。

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