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『筒井康隆の世界』

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筒井康隆に関するエッセイ・評論集


 うーん、ためになるとともに、自分の不勉強を思い知る結果に。

 昭和五十四年発行ですが、もともとは雑誌の別冊として発表されたもので、昭和五十一年に発行されたものを単行本化した模様。ですので、執筆者もSF関係者と音楽関係者でほぼ占められています。

 共通して語られているのは、自分を客観的な視点で見ている、外側から見ている、ということ。あるいは、シュールレアリスムの方法論と、筒井康隆の方法論を関連付けて語る。また、虚無、ナンセンスといったところでしょうか。シュールレアリスムに思想を持ち込むことは、それ自体おかしなことになるという主張には、納得できました。

 特に伊藤典夫氏の評論が、一番面白かったです。と、いうのもSFと筒井康隆というテーマが今一番興味あるものなので。ここでは、欧米SFの流れと筒井康隆の方法といったものを比較して、あるいはジャンル論などから、筒井康隆という小説家を浮き彫りにしようという試みが行われていて、非常に興味深いものがあります。栗本薫氏のパロディ論もハッとさせられました。

 一人の作家を語るにも、いろいろなアプローチがあるなあと思いました。
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