よかった。
この方の作品を読むと、読んだ後に、ずしりと何かが残る。
幾つもの教訓を、この作品からも授かった気がする。
当然、ゲドたちの使う魔法にも魅了されるし、龍との対決などにもワクワクするのだけれど、それ以上にこの年になると、賢者たちの言葉なんかが身にしみる。
光は闇をつくるとか、行為の結果は悪や善となるとか、そういった普段感じながらも明確には言葉にできないフィーリングがこの物語には形となって刻印されている。
言葉や真の名を知ること、名づけることは魔法である。
そして、
知識を得ること、それを使うことも魔法である。
ロークの学院で学ぶゲドの姿に僕はそう思った。現実世界で生きる僕たちが、日々、何かを得るために学ぶ行為も、そうだな、と。
最後に明かされる影の正体についても、非常に哲学的で、全き人間の姿というものについて、考えさせられた。この物語は人の生き方についての書であり、子どものときに出会えなかったのが残念であると同時に、この年齢で出会った幸運を喜んだ。
大切に読むべき物語です。
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