今回は子どもの頃、夢中になった本です。
江戸川乱歩「少年探偵団」シリーズ
変態怪人二十面相との戦いに毎回息をのんで読んでいました。小学生にも乱歩のエロティシズムはなんとなく肌で理解できて、すごく淫靡でめくるめく世界というような感じでした。特に思い入れのあるのが、親にせびって買ってもらった『少年探偵団』。一番印象に残ったのは『蜘蛛男』かな。今でも図書館のどのあたりに置いてあったかがまざまざと思い浮かびます。以下に記す二シリーズとともに置いてありました。
コナン・ドイル「名探偵シャーロック・ホームズ」シリーズ
むさぼるように読みました。小林司・東山あかね訳の分だったと思います。今思えば冒険小説に近いと思うのですが、とにかくきたお客さんが何者か一瞬で推理してしまうその明快さがすごいと思いましたね。シリーズに飽き足らず贋作ものなんかもよく読みました。ホームズの生涯を描いたベアリングールドのものとか、ホームズが女だった『我が愛しのワトスン』とか、ホームズがコカイン中毒でフロイトのもとに入院するニコラス・メイヤーの作品とか、そういう変な贋作のほうが好みだった。あと、コナン・ドイルは『失われた世界』がやっぱりめちゃくちゃ面白かったですね。そういやドイルの伝記とかシャーロック・ホームズ解析本とかにも手を出してました。
モーリス・ルブラン「怪盗ルパン」シリーズ
ここまでは子どもの読書の三点セットみたいなものですね。ルパンの伊達男ぶりとか、小学生にわかるはずないような気がしますが、とても好きでした。予告状を出して盗みに入るという「泥棒の美学」というかなんというか、そういったルパン自身の自己陶酔に満ちた作品だなあと今は思いますね。ただ「怪盗対名探偵」のホームズを悪者にしすぎたのはいただけないと思いました。ドイルは断ったらしいんですけど、邦訳するときにむりやりホームズの名前にしちゃったみたい。なにはともあれ、この頃はポプラ社の児童ものにはたいへんお世話になっております。
那須正幹「ズッコケ三人組」シリーズ
ハチベエ、モーちゃん、ハカセ、この三人組が各話でいろいろな目に遭ったりするのですが、一番好きなのは「あやうしズッコケ探検隊」。無人島漂流願望というのが芽生えました。子どもたちが自分たちの力で生活していっているのがカッコよく思えたんですね。とにかくホラーあり、ミステリあり、冒険あり、とヴァリエーションに富んだシリーズでした。単純に楽しかったです。那須正幹のものでは「お江戸の百太郎」とかああいったものも楽しかったなあ。
福永令三「クレヨン王国」シリーズ
この頃、青い鳥文庫が大好きでした。パスワードシリーズとか、キャプテンシリーズとかよく読みました。その中でも一番はまったのは「名探偵夢水清志郎事件ノート」。これは以前書いたので、今日は「クレヨン王国」シリーズ。なんといっても好きなのは、当時同じクラスの女の子にすすめてもらった「クレヨン王国 月のたまご」。全八冊なのですが、すばらしいファンタジーだと思います。大学生になってから読み返したりしたんですが、新たな感動がありました。挿画なんかもすばらしいですね。
赤川次郎「三毛猫ホームズ」シリーズその他
小学五年生の頃だったかな?推理小説のガイド本なんかで、猫の名探偵がいるんだというのを読んでさっそく買いました。あの頃は文庫も安かったですし。ただ内容をあまり覚えていない作品が多いです。陣内孝徳が片山刑事役をやったドラマは非常にすばらしかった覚えがあります。赤川次郎はほかに九号棟シリーズや幽霊シリーズも好きでした。そういえば辻真先の「迷犬ルパンシリーズ」もけっこう読みました。SF大会のくだりのあるシーンがやけに印象に残っています。
横溝正史『獄門島』
とにかく角川の装丁が好きでした。なにか乱歩と通ずる淫靡さが横溝正史にもあると思います。金田一のキャラクターがすごく印象的でした。そして、ロマンあふれるミステリ、そしてホラーになっていますね。あの有名なセリフが今でも脳にこびりついて離れません。見立て殺人って、僕はミステリの王道だと思う。そういえばこの頃、キンキキッズの堂本剛主演の「金田一少年の事件簿」も毎週土曜日楽しみにしていました。ただ、小学生がこれに夢中になるのは今考えるとまずい気がする。『八つ墓村』『犬神家の一族』なんかも好きです。
綾辻行人『霧越邸殺人事件』
小学六年生の頃でしょうか。○○が○○だった!というのに非常に驚いたものです。そういうのもありなんだ!と見識が広がりました。館シリーズなんかもけっこう読みましたねえ。表紙の館の様子が、文庫版でも新書版でも、好きでした。やっぱり、本格としての美意識が気持ちいいんですよねえ。嵐の山荘って、やっぱり王道だよね!とか、なんとかいいつつ、一番夢中になって読んだのは『殺人鬼』だったりする・・・・・・。
あとはエンデの「モモ」とか、ケストナーとか、海外児童ものもそれなりに読んでいますね。松本大洋挿し絵の「八月の金貨」とか、「9月0日大冒険」とかが印象に残っています。友達に借りた宗田理の「ぼくら」シリーズもけっこう読みました。あと、小学生のときの図書館の思い出といえば「はだしのゲン」ですねー。今でもトラウマです。核兵器絶対反対です。
あとこの頃、父親の本棚から西村京太郎の十津川警部とか、やたら読んでますね。倉庫から爺ちゃんの日本文学全集持ち出して読んでいたりしたし。「坊ちゃん」とか印象に残ってますけど。なんかこうして記してみると、気持ち悪い小学生だな。
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