他人の日記を見るのは面白い。プライバシーを覗き込むことが公明正大にできるからだろうか。それとも公開された日記というのは、操作が加えてあって、危険なところは見なくていいという安心感があるからだろうか。
とにもかくにも、日本の推理・SF界と芸能界と文学界の三つの世界の時代性が見える貴重な資料であり、読物としても面白い本です。
テレビの初期の時代など、小林信彦や景山民夫のエッセイなどで読んでいたので、その様子は非常に面白かったし、エンタテイメント界の人物との交流もあるので、有名人がたくさんでてきます。
小林信彦の作品は、エンタテイメントのものしか読んでいないので、なんともいえないのですが、やはり純文学にこだわってらっしゃるところが見えて、僕なんかからみると小林信彦の推理小説や子ども向けのユーモア小説は大好きだったので、「純文学の原稿、単行本では食えず、とうとうユーモア物を書き始めたが、もう、格好などかまっていられない」などと書かれると、大好きだっただけに少し複雑な思いになったりします。
まあ、なにはともあれ、テレビに関係していたからこそ、神野推理やオヨヨシリーズのパパみたいな人物が生れたりしたわけで、作家にとって体験ってやっぱり大事なんだなあと思います。60年代というのは激動の時代であり、安保問題や三島由紀夫の割腹事件など、日本の行く末を左右してきた大事件が起こっていて、その時代の息吹が感じられます。60年代、70年代に興味のある僕にとっては興味深い本でした。
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