ヨーロッパで使用された姦通防止用の奇妙な道具〈貞操帯〉に関するさまざまなエピソードを収集した「女神の帯について」。乳房に関する男性のエロティックな趣味の変化から男性の〈乳房コンプレックス〉について考察する「乳房について」など、観念としてのエロスに関するエッセイ16篇を収録。おもしろさあふれるエロティシズム・エッセイ集。
うーん、エロは偉大なり。
貞操帯のエピソードに関しては、別の本で夫と妻と貞操帯を作る技師の関わり合いが書いてあって、そこで妻が貞操帯の鍵をこっそり技師に作らせたりするという攻防戦みたいなのが描かれていて面白いものがありました。肝心の穴の部分はギザギザ状になっているそうで、指を入れるのも無理と書いてあります。こわいなあ。そこまでするか。ちなみにお尻のほうもそうなっているそうです。ハハハ。
サド=マゾヒズムについて、という文章も、フロイトの二元論を持ち出して死への衝動に向かうマゾヒズムが書かれていて興味深い。サディズムの「相手の自由を奪う」ことという指摘も面白い。
「乳房について」では巨乳好きな人は母親に対する憧れが大きな人、小さな胸を愛する人は少年愛的傾向が強いのだそうです。なんだかドキッとしてしまう指摘ですね。乳房の大きさの理想像に対する歴史というものが書かれていて、すこぶる興味深い。乳フェチの人は読んでみると面白いと思います。
「マンドラゴラについて」「オナンの末裔たち」「オルガスムについて」なども、非常に楽しいです。ところで「コンプレックスについて」という章で「
ジュール・ヴェルヌ=コンプレックス」というものがあるのですが、「かつて母親の庇護のもとに存在した、失われた楽園を求めて出発する室内探検家のコンプレックスである」らしいです。僕なんか、はっきりいってこれですね。名称もSF好きに実にふさわしい。
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