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SF読もうぜ(198) フィリップ・K・ディック『最後から二番目の真実』

世界を二分して終りなくつづく核戦争。地上に蔓延する放射能をのがれて人々は無数の巨大な地下塔にひそみ、過酷な生活を送りつつ、〈要員〉という名の戦闘用ロボットの生産に追われている、ときおり地上の模様が上映されるが、戦争の帰趨は決するようすもない。―――だが、これはすべてまやかしだった。戦争は10年以上前に終結しており、少数の特権階級の支配する世界ができあがっていた。彼らは人びとを地下にとどめておくために、さまざまな欺瞞を仕掛けつづけているのだ。ディック60年代の秀作を新訳で贈る。

 それなりに面白かった。

 解説にも書いてあるとおり、なんだか構成的に破綻している感があります。バラバラのストーリーが最後に集結しきれていないという・・・・・・。まあ、そこがディックの魅力の一つでもあるのでしょうが。

 原型になった四つの短篇はいずれも読んでいるのですが、それぞれがその作品の一番の味を出せていないような気がしました。ネタバレになりますが、「地球防衛軍」の場合はラストに実は嘘だったんだぜといういつもの暴きたてが、「融通のきかない機械」は機械を差し押さえした後のスリルが、「ヤンシーにならえ」はものやわらかなヤンシーに大衆がだまされるというその日常性の中の嘘という部分が・・・・・・。書き換えたときに僕が一番楽しめたところが変っているという悲劇が起こってしまい、そこが気になって作品全体が読めなかったのも「それなりに」面白かったという感想の一助でしょうか。

 ですが、「最後から二番目の真実」という題名につながっていくラストの終わり方は「なるほどな」と思ったし、政治や権力に対する不信といういつものディック節が読めて、そこは期待どおりだったと思います。ただ、SF的なガジェットもいまいちいかしきれていないなあと思ってしまった。一つほころびが見えたように思えてしまうと作品全体に対する視線も厳しくなってしまいがちですね。

 ディックの入門書には不適切だが、ファンは楽しめてしまう。解説にありますが、ほんとその通りだと思います。しかし、この値段は高いなあと思ってしまったのは僕だけでしょうか。
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