ある朝、気がかりな夢から目をさますと、自分が一匹の巨大な虫に変わっているのを発見する男グレーゴル・ザムザ。なぜ、こんな異常な事態になってしまったのか・・・・・・。謎は究明されぬまま、ふだんと変わらない、ありふれた日常がすぎていく。事実のみを冷静につたえる、まるでレポートのような文体が読者に与えた衝撃は、様ざまな解釈を呼び起こした。海外文学最高傑作のひとつ。
いやあ、面白かったです。
「ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変っているのを発見した。」有名な一文ですね。なぜ、虫になったのかは一切明かされぬまま話は淡々と進んでいき、そのまま終了します。ひどい。
ある日、家族の一員が虫に変ったらどうするか?家族という一つの社会集団の利害関係をめぐる愛憎という感じで僕は読みました。グレーゴルは家族の稼ぎ頭で、家族を養っていた人物ですが、虫になってしまったことで会社をくびになり、部屋に閉じ込められてしまいます。部屋に閉じ込められた彼に最初は優しかった妹も徐々に彼のことを疎んじるようになってしまいます。最終的に家族がグレーゴルから経済的に完全に自立したことを示して幕を引きます。
解説にもありますが、「私的生活と職業生活との相克」というものが僕もあると感じました。セールスマンとしての自分に疑問を感じ、グレーゴルは自由になりたかった。僕は非常に俗っぽく現代風に考えれば、彼は「引きこもり」になったんではないかと思ったんですね。虫になるということは、そういうことなんじゃないかと。
非常におもしろかったので、別の作品も読んでみようと思いました。
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