“我慢しろ・・・・・・ぼくらが駆けつけてやる!・・・・・・ぼくらのほうから駆けつけてやる!ぼくらこそは救援隊だ!”サハラ砂漠の真っ只中に不時着遭難し、渇きと疲労に打克って、三日後奇跡的な生還を遂げたサン=テグジュペリの勇気の源泉とは・・・・・・。職業飛行家としての劇的な体験をふまえながら、人間本然の姿を星々や地球の間に探し、現代人に生活と行動の指針を与える世紀の名著。
「ぼくら人間について、大地が、万巻の書より多くを教える。理由は、大地が人間に抵抗するがためだ。人間というのは、障害物に対して戦う場合に、はじめて実力を発揮するものなのだ。」
高邁な精神を持つ飛行機乗りたちの数々のエピソード。危険な飛行機乗りという職業で、生死の境をさまよいながらも、人間の尊厳を守り通す姿勢に感動します。
一番印象に残ったのは、高山に不時着し、雪の中に何度も倒れながらも、生地に帰還したギヨメのエピソードです。ギヨメはそのとき言う。「ぼくは断言する、ぼくがしたことは、どんな動物もなしえなかったはずだ」。
ただ、ひねくれものの僕としては、ただ感動するだけで終わることができず、サン=テグジュペリの語る理想的な世界の一面だけを見てはいられない。こうあるべきだとは思うけれど、彼の語る「人間の本然」というのを疑わずにはいられない。疑わずにはいられないからこそ、それを望み、信じたいのだけれど。
「精神の風が、粘土の上を吹いてこそ、はじめて人間は創られる。」
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COMMENT
SF紹介 ―光の塔―
『人間の土地』、読ませて貰いました。飛行気乗りたちの冒険のエピソードですか。飛行気乗りって、今も昔も、不思議な魅力を持っていますよね。
今日もまた、面白いSFを読破しました。戦後初の国産長編SF―今日泊亜蘭氏の『光の塔』です。
主人公・水原宇宙軍少佐は、火星から帰還中に、謎の飛行物体『飛び火』を目撃します。
やがて地球の土を踏んだ彼を待っていたのは、軍隊時代の旧友・照岡と賀藤との再会でした。彼らは今、東京で起こっている怪事件に遭遇します。
ある一定時間だけあらゆる電力が停まる『絶電現象』、警戒厳重な秘密倉庫から消えた大量の核燃料、博物館内の巨大な木星船の消失とその現場に残された奇妙な『遺留品』、そしてそれを取り戻そうとする謎の怪人の出現…。怪人の正体を暴こうとして、賀藤は光に包まれ消えてしまいます。そして突如出現した謎の敵『光』は、恐るべき怪光線を武器に、日本中で破壊と殺戮を繰り返します。やがて東京に、巨大な光る尖塔が出現しました。
少佐は偶然にも怪光線の威力は絶対ではなく、何故か陶器類(瀬戸物)だけはそれを防げることを発見します。彼は照岡と、賀藤が秘かに地球に連れてきた火星人ズキヰルドル、その知り合いのスナハラ博士、そして宇宙軍志望の殺し屋青年竜四郎とともに、『光の塔』に戦いを挑みます。果たして、『光』の正体は? そして、人類の運命は?
今日泊亜蘭氏の作品は、ジュヴナイルの『アンドロボット,99』と『怪獣大陸』を読んだきりで、処女長編を読んだのは、これが初めてです。思いのほか、読み易かったです。
レトロ・フューチャー漂う未来の日本や、『電波をかけてボイ返す』や『ちょT用があるんだけど』といった未来の俗語などが、なんとも面白いです。(今日泊氏は言語学に詳しいそうです)また登場人物たちも個性豊かで、特に光線銃を持たせたら百発百中だが、どこか人懐こく憎めない、それでいて謎の多い竜四郎がぼくのお気に入りのキャラです。(因みにモデルは、作者とも親交のあった光瀬氏だそうです)
現在は復刻されているので、比較的容易に入手できると思います。
話は変わりますが、毎週月曜の10時50分に、NHKにて『星新一ショート・ショート』という番組が放映されています。ぼくも最近見始めたのですが、アニメ、CG、人形劇、絵物語などで映像化された全三話のオムニバスになっています。
興味があったら、是非どうぞ。ではまた。
Re:SF紹介 ―光の塔―
『光の塔』は一度は読まなければならない作品だと思っています。日本のSFの先駆者のお一人ですよね。
星新一の公式サイトもできましたね。なんか『イキガミ』でいろいろゴタゴタしているようですが、筒井康隆のエッセイも読めるようなので、楽しみです。