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コスプレ少女の鏡 竹本泉『しましま曜日』

6b0f00fe.jpg 本日は竹本泉の『しましま曜日』。『月刊アスキーコミック』92~95年連載。

 宮崎ゆかりは15歳。子供の頃から親に厳しくしつけられ、とんでもなく優柔不断な性格に育った結果、自分で物事を決めることができなくなり、服に着られる女の子になった。体操着を着れば急に活発になり、鳥打帽をかぶれば名探偵(風)に、ネコ耳をつけられればネコに、といった具合。そんなゆかりが引き起こすちょっとしたトラブルを描いた作品。

 チアガール、ナース、火星人、スクール水着などの扮装をすることで、各衣装(制服)のイメージに自我を支配されてしまう女の子のお話です。
 それだけでなく、キャラクター性を付与された衣装を着るとその人になりきってしまいます。鹿撃ち帽をかぶせられた時にはホームズになりきり、ジョイナーと書かれたゼッケンとブルマと付け爪をすればジョイナーになりきり、ベレー帽をかぶれば手塚治虫になってしまいます。衣装に準じたキャラクターになりきる。ゆかりは無意識的にやっているのですが、これはコスプレの精神を体現していますね。
 ゆかりの恋人未満友達以上な関係の長野くんは、毎日衣装によって性格が変わってしまうゆかりのどこを自分が好きなのか悩んでしまいますが、「中身がゆかりならなんでもいい(直接的には表現されていませんが)」という結論に達し、一安心しています。これが別の作家であれば、もうちょっと突っ込んだ哲学的な命題なったでしょうね。自我は何によって決定されるのかとか、個人の主体性はどこまで信用していいのか、とか。しかし、そんなに深く考えず、謎は謎で放りっぱなしといういい意味でのいい加減さが竹本マンガの魅力なので、そういう可能性は別の作家が掘り下げればいいか、と思いました。
 お気楽、ご気楽な癒し系のマンガなので、読んだことない方はぜひ。
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