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ホラーに辻褄はいらない 伊藤潤二『死びとの恋わずらい』

img148.jpg 生まれ故郷の霧深い町に戻ってきた龍介には、ある悩みがあった。龍介が子どもの頃、辻占いにやってきた女性にひどい返答をしたために、その女性が自殺してしまったのだ。しかも、その女性が自分が思いを寄せている女の子の伯母だと知って、龍介は苦悩します。そして、町では辻占いが流行しており、「四つ辻の美少年」と呼ばれる謎の人物によって、暗い未来を予言された女の子が自殺する事件が相次いでいた。龍介は自分が関係した自殺事件がことの発端ではないかと思い、「四つ辻の美少年」を探し、町を彷徨するのだが・・・・・・。

よくも悪くもあまりの展開にのけぞってしまいます。

 子どもの頃の事件に悩み、相思相愛のみどりの気持ちを受け入れられない龍介。みどりの親友の鈴枝はそんなみどりがかわいそうで、「辻占」をするのですが、そこで「四つ辻の美少年」に二人の関係のことを相談してしまいます。すると、美少年は「そんな事より自分の恋の相談をしろ・・・・・・」と言い残し去っていきます。すると、鈴枝は「私龍介君が好き!!」とみどりの前で宣言し、ストーカーになってしまい、さらには日に日にやせ衰えていきます。教室の後ろのドアから、龍介を覗き込む鈴枝。なぜだか、ちょっと笑えます。龍介にはっきりと拒絶の言葉を言われ、涙を流す鈴枝。吹き出してしまうほど笑えます。すると、突然鈴枝はカッターを取り出して自らの頚動脈を切断。死にました。その後、死人になってもストーカー行為をしてきます。こ、こえー(よつば風)。

 第二話、「悩む女」では、最初は通りすがりに不倫の恋を打ち明け、その人の子どもを生むかどうかを相談されます。一度、相談に乗ってあげると、そのお姉さんは五日ほど続けてやってきて、いい加減迷惑なので家に入れないと、自分で自分の腹を庭の鉢で打ち始め、病院に運ばれていきました。しばらくして、彼女はふいに路上に現われ、流産したことを告白し、「水子の供養はどうしよう?」と悩み始め、「どうしよう~」と路上でゴロゴロし始めます。主人公はそんな彼女をほうって逃げますが、今度は主人公に先んじて、主人公の部屋で「ああどうしよう」とゴロゴロし始めました。この後も延々と悩み続けますが、最終的には全身刺青体で現われ「気がついたらこんな風になってたの・・・・・・」といい「あ~~~どうしよう」と頭を抱えてしまいます。僕も主人公同様、「途中で気づくはずじゃないか」と突っ込みました。

 第三話で、龍介君は鋭い痛みと共に夢から覚め起き上がります。鏡を見るとなにかが刺さっている!画鋲だ!最終的にそれは元親友の仕業だということがわかるのですが、どう考えても画鋲を耳に刺されたら、その痛さで一瞬で起きるだろうし、百歩譲ったとしても、部屋に侵入して親友の耳たぶに地味に画鋲を刺して逃げる元親友の背中ぐらいは見えたはずだと思うのですが・・・・・・。「途中で気づくはずじゃないか」。この言葉は今にしてみれば、君に与えたいよ龍介君。

 恐怖というのは予期せぬ衝撃が命です。そこに理屈は通用しません。でも、あえて「理屈」という視点を導入してみると、また違った世界が見えてくると思います。つまり、「ホラー」から「ギャグ」への切り替えです。一流のホラーは一流のギャグに通ず。その瞬発力(インパクト)がよくも悪くも堪能できる作品だと思います。最終章の「四つ辻の美少年サマ~」と叫ぶ少女たちにも注目。

 伊藤潤二の他作品感想   「ギョ うごめく不気味」  
 マンガ感想の目次はこちら 「漫画感想目次」
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